忘却葬送曲
First Movement 6
次に会ったとき、彼は、数え切れないほど沢山の花に埋もれて、狭い柩の中で眠っていた。
突然の心臓発作で亡くなった水野の身体は、傷一つなく、死んでいるようには全く見えなかった。
同じ高校の生徒、同じ生徒会のメンバーとして祭壇に献花した俺は、一滴も涙をこぼさずに、ぼんやりと柩の中の彼の姿を眺める。
こいつは、本当に死んでいるのか?
これは全て彼の冗談で、みんなを驚かせるために、いきなり起き上がるんじゃないのか・・・その目を開けて、いつもの豪快な笑顔で・・・。
立ち尽くしたままの俺を、藤堂が腕を引いてゆっくりと席へと連れて行く。
俺の頬にはいつの間にか、涙が伝っていた。
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