忘却葬送曲
prelude 10
「その手に持っているものを、こちらに引き渡しなさい。・・・こんなことをして何になる、少年」
銃を真っ直ぐ俺の方へ向けた男が、咎めるような鋭い声で言った。
「・・・止めたいなら、その引き金を引いてみればいい。無駄であることがよく分かるから」
俺は端末の画面を開き、銃弾を崩壊させるためにシールドを使った。分解を行うアプリとは違い、人間など有機物にも適応可能なこの機能があれば、俺を取り押さえようとする包囲網を突破するのは、いとも容易いことだった。
男は諦めたように銃を下ろし、俺の顔を真っ直ぐ睨みつけた。俺は機械を操作する手を止め、彼の発言をじっと待った。
「何が目的で、こんなことをしている。・・・ただのガキである、お前が」
「ただのガキである俺に、こんなことをさせたのはあなた達だ。・・・ただの俺の自己満足のために、この世界には付き合ってもらう。・・・この馬鹿馬鹿しい復讐劇に」
俺は再び入力画面を開き、・・・この建物全体を崩壊させるためのスイッチを押した。
「それではまた、機会があったら会いましょう」
・・・ギィーン!!
今日一番の大きな金属音が響き、その場にある全ての物質が、建物全体が、・・・一瞬で塵へと変わった。
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