直感的学園生活 直感的メロスの多忙な休日 7 ―AM9:00― 「それじゃあ倖田兄貴、いい休日を過ごしてください・・・えっと、農家少年もな」 「そのあだ名は覚えなくていいから・・・、ありがとう、金山君」 勢い良くバイクで走り出した彼の姿は、あっという間に見えなくなった。 買ったパンを食べ終わり唯一の目的を失った俺たちは、だらだらと休日の商店街を歩き出した。ようやく開店し始めたばかりの通りは、まだ人の姿もまばらだ。 隣を歩く農家少年は、立ち並ぶ店先をきょろきょろと眺めつつ、俺に質問をした。 「・・・倖田先輩は普段の休日、どこに行くんですか?」 「大抵、先ほどのパン屋に寄った後は、中古本屋で立ち読みをするか、行きつけの喫茶店へコーヒーを飲みに行くんだが、予定通りにはならないな。俺の第六感が働いた結果、いつの間にか路地裏に迷い込んでいたり、知らない人の家にお邪魔していたりする。・・・まあ、毎回色々あった後、最終的にはバラ色の充実した休日になるな」 「・・・そうですか(色々って、・・・内容を聞くのが恐ろしくて出来ない・・・)」 何か、自身の身に今後降りかかりそうな災難を想像したかのように、弁当少年は顔色を悪くして、ブツブツと何事かをつぶやいている。 ああ、今回の休日はどうなるだろうか、・・・そう思ったとき、 俺の第六感が告げる。 ―行きつけの中古本屋へと寄れ!バラ色の出発点はそこにある― 俺は立ち止まり、少年にちょうど目の前にある店を指し示した。 「農家少年、ここに寄って行こう」 「・・・中古本屋。先輩、いつもここに来ているんですね」 「ああ。だがしかし、今日は俺の直感が告げているからな。気合を入れて入店するとしよう」 「はぁ・・・(始まっちゃったよ、直感的休日・・・無事に学園へ帰れるだろうか・・・)」 気乗りしない返事をする農家少年を連れ、俺は店の自動ドアを通った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |