直感的学園生活 直感的メロスの多忙な休日 5 「ベーカリー・友田」から出ると、既に購入を済ませた農家少年が、外で俺を待っていた。 ・・・ただ、少し様子がおかしい。転んだかのように少し衣服が乱れ、呆然とある方向を見ていた。俺がすぐ側まで来たことに気がつくと、暗い顔をして俯いてしまった。 「どうした、農家少年。・・・何があった?」 「・・・走ってきた自転車に乗った人に、僕のショルダーバックを盗られました・・・」 少年の肩を見れば、先ほどまであったはずの使い込まれた鞄がなくなっていた。悔しそうに下を向く彼は、強く唇を噛み締めている。俺は彼の少し寝癖のある頭に手を置き、その落ち込んでいる顔を上げさせた。 「少年、・・・冷めないうちに、買ったばかりのパンを食べよう」 「・・・はい」 わしゃわしゃと髪を撫でると、幾分か明るい調子を取り戻した声で彼は返事をした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |