直感的学園生活
キテレツグルメ紀行 7
「おはよう、東野君。こんな所で会うなんて珍しいね」
そう俺に話し掛けたのは、端正な顔立ちだが、やや無個性な印象を受ける少年だ。
二年の頃からのクラスメートで、名前は灰島未咲。親衛隊は小規模だが持っている。
彼の纏う空気は、奇妙なくらいに澄んでいて、どこか人間味に欠けていた。
それなりに会話も交わしてきたはずだが、未だに掴みどころが無く、心の内がまるで読めない。
理由は分からないが、彼が意図的にそうしているのではないかと思う。
「灰島か・・・別に何でもない。お前こそ、どうしてこの階にいるんだ?」
風紀委員会で副長を務めていた彼は、俺と同じく、役職持ち専用の階に部屋がある。
快活な声で指示を飛ばす近藤の隣で、黙々と仕事を続ける灰島。
つい先学期までの、風紀委員室の日常風景だ。
「この階に居る友人に、差し入れを届けに。・・・ふふ、」
灰島は手に持っている小さな紙袋を持ち上げると、声を上げて薄く笑った。
自嘲めいたその笑い方に、俺は驚いて目を見開く。
そこから漏れ出す彼の本心は、酷く寂しいものだった。
(友人なんて、彼はそう思っていないだろうに)
「・・・灰島、何かあったのか?」
「いいえ、何にも。・・・ただちょっと、羨ましいなって」
俺を真っ直ぐ見据える瞳は、届かない何かに焦がれているようだった。
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