直感的学園生活
ホームグラウンドの歩き方 8
一番風呂(聡美、美沙子)
「・・・はー、極楽、極楽。冬はやっぱり湯船に浸かるのが一番ねえー」
「聡美さん、そんなおじさんのような事を言ったら、せっかく美人な顔が台無しですよ」
「いいの、いいのー。別に男にモテたいわけじゃないし、どうせ私は怪力女だし」
「佑樹さんはそんな聡美さんが好きなんでしょうけれど・・・たまには女の子らしく甘えて欲しいんじゃないかしら」
「そうかなー・・・って、お母さん、私達が付き合っている事知っていたの!?」
「お母さんだって女の子ですから。・・・明彦さんも、何となく気付いているみたい」
「あちゃー・・・だから父さん、あんなに佑樹に厳しいのね。先が思いやられるわ・・・」
「ふふ・・・拗ねているだけよ、大事な娘を取られちゃって。ちゃんと話せば大丈夫ですよ」
「それ以前に、あの二人がまともに話し合ってくれるかどうか・・・ねえ、お母さん」
「なあに、聡美さん?」
「ほら私・・・あの事件があってすぐ、山に修行に行くと言って、家を飛び出したでしょう?」
「そんな事もありましたね。お母さんびっくりして、物干し竿を折っちゃったわ・・・」
「修行したのはいいけど、下山しようとしたら足を挫いちゃって。
そのまま動けないでいたら・・・佑樹が、不機嫌そうな顔してやって来て、私をおんぶして山を降りたんだ。
家の前まで着いたら、背負っていた私をさっさと放り出して・・・何も言わずに帰っちゃった」
「ええ。・・・それで?」
「・・・あいつの靴、本当に泥まみれで・・・手も、すごく冷たくなっていた」
「・・・ずっと聡美さんを探していてくれたのね、佑樹さん」
「本当に不器用で馬鹿だけど、真っ直ぐで・・・たまに、すごく格好良く見えるの」
「ふふふ・・・惚れちゃったんですね、聡美さん」
「・・・はい、惚れちゃったのよ。まいったなあ、もう」
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