直感的学園生活 直感的RPG 第一話 第一話 勇者、誕生 「俺の第六感が告げている。お前が勇者だな、よろしく頼むぞ」 突然僕の家を訪れた「剣」は、そう言ったのだった。 「いやいや、勇者って・・・第六感って・・・なんですかそれ。僕はただの村人Aでしかありませんし・・・けっ、剣がしゃべっているー!」 「少年、そう驚くことはない。この設定は某人気RPGシリーズの二番煎じだ」 そのよくしゃべる剣を持って来た男が、ようやく口を開いた。 「まあ村人屋、話を聞いてくれ。俺は国王の命令でこの剣を扱える勇者を探していた、臣下の真田という者だ。この剣は「魔剣コウダソード」と言い、かつてこの国が魔王に滅ぼされかけた時、勇者トウジが振るったとされている。・・・激しくガセネタ臭がするが、本当のことだぜ」 「そんな凄い剣、ただの村人な僕には扱えませんよ・・・そもそも何で、僕が勇者なんですか」 「俺の第六感が告げたからだ」 「だから何ですかそれ・・・。とにかくお引取りください、絶対何かの間違いですから・・・」 僕がドアを締めようとすれば、コウダソードは自身の身を割り込ませてそれを阻止した。 「俺の体は素晴らしく頑丈だぞ、びくともしないだろう」 「うわあ、悪徳セールスマンのようなやり口・・・間に合っていますから、帰ってください!」 ドアに挟まっている剣に四苦八苦していると、男がまた話しかけて来た。 「村人屋、この剣があればこの国のどこにだって行けるだぜ。なんせどんなモンスターでも一撃で倒せるからな。一生村から出られない人生は嫌だろう?」 「どんなモンスターでも・・・いやいや、村人Aである僕が攻撃を食らったら、ひとたまりもないですから」 「そんな勇者屋の要望にお答えし・・・今なら、どんな攻撃でも跳ね返す無敵の鎧を付けるぜ。更に、旅の資金と回復道具を今だけセットでプレゼント!」 「わあ、お買い得!」 「しかも、魔王にさらわれた王子を救出出来たら、国王から莫大な褒賞金が出るぞ。庭付き一軒家も夢じゃねえな。趣味の園芸やり放題だぜ!」 「僕、勇者やります!」 数十分後・・・・ 臣下真田が残していったアイテム、鎧、コウダソードを、僕は呆然と見つめていた。 「あれ・・・なんで僕、勇者になって・・・?」 「少年はテレビショッピングを見るべきではないな。見事なまでの引っ掛かり様だったぞ」 こうして、まんまと乗せられてしまった僕は、魔剣コウダソードと共に魔王城を目指して旅立つことになった・・・。 [*前へ][次へ#] [戻る] |