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直感的学園生活
ぼくの外側の世界事情F 1

ぼくの外側の世界事情 F


「やあ久しぶり、明彦」

「随分遅かったな。・・・やっと涙が収まったのか、藤二」

「知之に情けない顔見せないためには、心の準備が念入りに必要だったんだ」

あの事件があってから数週間、ようやく海外から帰ってきた彼を駅で迎えた俺は、その充血した目にため息をついた。
どうやらここに来る直前まで、こいつは大泣きしていたらしい。

彼が車に乗り込んだのを確認し、俺はキーを回してエンジンかけた。
流れ始める車窓の風景をしばらく眺めた後、俺に視線を移した彼が、口を開く。

「目の下に酷い隈があるな。・・・遅くなってすまない、大変だっただろう」

「ああ。警察に行ったりテレビ局が来たり、東野家のご両親に頭下げられたり。まあ、一番大変だったのは家族全員の気持ちの整理だったが。それはもう大嵐だったさ、美沙子は不可思議なドジを次々と起こすし、聡美は修行するとか言って山へ・・・」

「相変わらず個性的な家族だな。・・・翔君の様子はどうだ?」

「・・・あいつが、この事件で一番精神的なダメージを食らったかもしれない。ろくに飯を食おうとしねぇんだ、まいったな・・・」

「そうか・・・うう、駄目だ。また涙があふれてきた・・・ぐすん、ともゆき〜」

「おいおいしっかりしろよ、直に病院に着くぞ。・・・悪いな、お前の息子を守れなかった」

ポケットティッシュで思いっきり鼻をかんだ後、彼は答えた。

「守れなかったのは俺も同じだ。・・・俺は、お前の家にあの子を預けたことを、全く後悔してはいない。いい笑顔をするようになったな・・・我が息子は。思わず送ってもらった写真を拡大コピーして壁に貼り付けた」

うへうへと顔を緩ませる彼に、呆れ顔な俺は、久しぶりに声を上げて笑った。

「はは・・・相変わらず暑苦しい息子愛だな、人のことは言えないが。・・・知之が来たおかげで、家の中は今までにない程面白くなった。俺も、後悔しちゃいないさ」

間もなく見えてきた病院に、俺は少しだけ車のスピードを上げる。

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