直感的学園生活 思い出タイムカプセル(モノクロ) 4 目を開けても、閉じても、真っ暗だった。 どうしてぼくは、こんな暗い場所にいるんだろう。・・・今は、夜だっけ? 何だろう、誰かの声が聞こえる。 ―・・・知之、知之!しっかりしろ!・・・― お父さんの声。もう、帰ってきたんだ・・・そう、今はまだ昼のはずだ。 ぼくをきつく抱きしめているのは、晴樹君だ。知之君は・・・どこにいるんだろう。 「・・・明彦さん!俺達はここにいる、開けてくれ!」 どうしたの、晴樹君。そんな必死に声を上げて・・・。 ああ、そうだ。ぼく達は、知之君にここに閉じ込められたんだ。 バタバタ・・・ガチャン!・・・ギギギ。 収納スペースの蓋が開けられ、刺すように眩しい光にぼくは目をつぶる。 「翔、晴樹!よかった、無事だったんだな・・・」 「佑樹さん、ともゆきは、知之は・・・!」 佑樹さんは床下からぼく達を引っ張り上げた後、視界を覆うように、きつく胸に抱きしめてはなさなかった。 「・・・ごめんな、もっと早く気付ければ・・・」 「はなせ、はなしてくれ!・・・ともゆき、知之はどうなったんだ・・・!」 必死に佑樹さんの腕を振り解こうとする晴樹君と、ただ呆然としたままのぼく。 沢山の人が忙しなく部屋を行き来し、様々な声が飛び交う。 しばらくしてようやく放されたぼく達の、その向こうには。 酷く荒らされた室内と、あちこちに散らばる赤色。 頭がぼんやりとしたままの僕には、その意味を理解する事は出来なくて。 顔を真っ青にしてそれを見つめる晴樹君の隣で、ただじっとその光景を眺めていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |