直感的学園生活 思い出タイムカプセル(モノクロ) 3 その日は家の中で遊ぶことにしたぼく達は、部屋でゲームをしたり、漫画を読んだりして過ごしていた。 ぼく達以外には今、この家には誰もいなかった。 お母さんは出荷作業の手伝いに出かけているから、帰ってくるのは父さんと一緒で、夕方になるだろう。 お姉ちゃんも部活だった。 時々笑い声を上げながら漫画を読んでいた知之君が、突然本を閉じて立ち上がる。 その目は見開かれ、「何か」にとても動揺しているようだった。 「どうしたの、知之君?」 「・・・第六感が、・・・どう言うことだ・・・?」 そう意味の分からない呟きを発したあと、彼は部屋を飛び出すように出て行った。 事態が読めず、顔を見合わせたぼくと晴樹君も、彼に続いて部屋を後にする。 ぼく達はゆっくり階段を降りて、一階へ向かう。 ダイニングに居た知之君は、カーペットをめくり、普段は滅多に使わない床下の収納スペースを開けていた。 ぼく達を振り返って見た彼は、少し不自然な笑みを浮かべている。 「・・・よし、翔、晴樹。少しゲームをしよう」 「・・・一体何をするんだ、そんな所開けて」 「この中にしばらく入っていろ。俺が呼ぶまで出てくるなよ、面白いことが起こるから」 「でも、ちょっと暗いし、暑そうだし・・・」 ぼくは少し嫌そうに言って、床下に視線を向ける。 二人がギリギリ入れるだけのスペースしかなさそうだ。 「まあ、騙されたと思って入ってみろ。ほら、早く」 妙に急かす彼に促されて仕方なく、ぼくと晴樹君は床下に入り込む。 案の定そこは狭くて、ぼく達は体を寄せ合うようにして収まるしかなかった。 「じゃあ閉じるぞ、・・・またな」 重い蓋が知之君の手でゆっくり閉じられていく・・・その一瞬、彼の表情が辛そうに歪んだ。 酷く嫌な胸騒ぎがして、ぼくは彼の名前を叫ぶ。 「・・・知之!」 ギギギ・・・ガチャン。 それに答える声はなく、外から鍵をかけられる音がした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |