直感的学園生活 痛々しいほど健気な彼らの日常。 4 その後、会計と双子も相沢にもれなく消滅させられ、意気消沈した俺達はついに双六を放棄した。 そもそも何のためにこのゲームを始めたのか思い出せない・・・俺達は、何故こんなくだらない双六をしていたんだ・・・。 俺は体をぐったりと沈めていたソファーから立ち上がった。 「・・・時間を浪費したな。仕事にとっとと戻るぞ」 「「そんな気力沸かないよー・・・」」 「僕も無理です・・・というかこれ、どうやって消せばいいんでしょうか・・・」 元々連日の業務で疲れていた上に、更に精神的なダメージを受けた役員達は仕事に復帰出来そうになかった。 ・・・今日はもう切り上げるしかないな。 俺がデスクの上を片付けようとした、・・・その時だった。 「・・・あっ、校庭に倖田先輩がいるよー」 窓辺に寄りかかる会計が指差した方向の・・・その先にいる彼を、俺の目は捉える。 秋晴れの清々しい空の下、あいつは仲間達と共にサッカーをしていた。 ―少年、こっちにパスだ!― ―はい、先輩!― ―・・・俺のバラ色は、この先にある!― 綺麗なシュートを決めた倖田は、喜ぶ仲間達とハイタッチして笑い合う。 ・・・その彼の笑顔に、俺は目を離せなくなってしまう。 何故なら、それは子供のように純粋で、ひどく眩しくて・・・遠い日に見た少年の顔がそこに重なるのだ。 目が痛くなるくらいの青と、その空の下を駆け抜ける子供の姿。 心の奥底に眠っていた俺の記憶が・・・もう取り戻せないあの日々の光景が、呼び起こされた瞬間だった。 「・・・会長、どうしたのー?ぼんやりして」 黙り込んで校庭を眺めている俺の顔を、会計が不思議そうに横から覗き込んでいた。 「・・・いや、なんでもない。・・・アイスが食いたくなった、全員でコンビニ行くぞ」 「アイス・・・?急に何でまた・・・まあ、いいですけれど」 「「僕達も食べたーい、早くコンビニ行こー!」」 「やっぱりチョコモナカかなー。でも雪見だいふくも捨てがたいなー」 急に元気を取り戻した彼らと共に、俺は生徒会室を後にした。 ・・・俺は、ソーダアイスがいい。 真夏の空の下によく似合う、火照った体を冷やしてくれる、あの水色が。 余談だが・・・その道中俺達は副会長親衛隊と出くわし、おでこの「肉」をめぐって一騒動となったのであった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |