直感的学園生活 倖田知之の学園初日 1 「・・・以上がこの学園の特色だよ。大変なことがあったらいつでも相談しに来てね、倖田君」 門番さんと美味しい玄米茶とおかきをいただきながら、俺はその衝撃的な話を聴いた。 「・・・この学園の大半の生徒が同性愛者で、しかも超リッチで、しかも見目麗しくて、しかも同性愛者だとは・・・。どうやら俺は、異世界へと来てしまったらしい」 「・・・二回同じことを言うくらい衝撃的だったかな。まあ、心を強く持って。この学園はそう悪いところじゃないよ」 「ああ、俺の第六感がここに行けと告げたんだ。間違いなく俺の学園生活はバラ色になる・・・はずだ。ごちそうになった」 お礼を言い俺が椅子から立ち上がると、彼は大きな紙を俺に手渡した。 「これ、学園の案内図。ここは無駄に広いから、迷わないように気をつけてね。いってらっしゃい」 「ああ、ありがたくいただいていこう」 事務所から出て歩き出した俺は、次なるカルチャーショックに出くわした。 レンガ造りの重厚で高い壁、芳しい香りが漂う広大な美しいバラ園。実に見事だ、見事なのだが・・・。 「・・・これは、地図上では学生寮と記されている建物のはずだが。俺の目には豪華な洋館にしか映らない。・・・この前に行った旧古河邸にそっくりだな、ある意味バラ色だが・・・」 俺の第六感よ、俺はバラ色な学園生活を過ごしたいのであって、別に豪華なバラ園が広がる学園に来たかったわけじゃない。 いやまあ、散歩には最適かもしれないが・・・。 「・・・先輩、僕はあなたのことがずっと好きでした・・・付き合ってください」 「ああ、もちろんだ。俺もお前のことを愛している・・・!」 どうやらこの眺め美しい場所は、告白スポットとして最適なのらしい。 ・・・うぐ、俺には刺激が強すぎたようだ・・・速やかに寮へ入ろう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |