lost memory, last train Hello, my little monster ! 9 「色々彼が行きそうな所を当たっているけれど・・・まだ、見つからない」 「そう、ですか・・・」 ぼくと一樹さんは、同時に深いため息をついた。 遠見幸也、25歳、ただいま家出中です。・・・何てこと。 朝いつも通りに起きたら、ダイニングテーブルの上に置き手紙があって、 「家出します、探さないで」と、いかにも子供らしい文章を残し、彼がいなくなっていたのだ。 呆れていても仕方ないので、一樹さんに連絡をして、家出大人の捜索を手伝ってもらっている。 「まあ、きっと大丈夫・・・どうせすぐに、泣いて帰ってくるよ」 「はい、そうだといいんですけど・・・」 ろくな荷物を持たず、財布一つコートのポケットに入れて、白うさぎは跳んでいったのだ。 そんな何日も持たないだろうと、その時、ぼく達は思っていたのだけれど。 まさかそれが、一ヶ月以上の長期戦になろうとは、誰も予想出来なかったに違いないのだ。 何てこと。 [*前へ][次へ#] [戻る] |