lost memory, last train dusk 2 「・・・以上で新学期の挨拶とさせていただきます、生徒会長、小野文人」 芯のある声が終わりを告げると、それに答えるように体育館を拍手が鳴り響いた。 形式だけではない、熱のこもった拍手。 生徒会長である文人を慕っている生徒は本当に多い。 生徒の意見や要望をしっかり取り上げて、校内で発生した問題にも迅速に対処する、その仕事ぶりは彼が多くの人望を集める要因だけど、他にもたくさん理由はある。 彼の抜群の運動センスとか、整った容姿とか、面倒見が良い性格とか。 ・・・とにかく、彼は完璧なぐらい格好よくて、この学校の人気者だった。 壇上から降りてくる彼と不意に目が合う。 とりあえず笑ってみたら、文人も少し困ったような笑いを返した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |