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ACT12 削られていく命


夢を見た

その夢の中で俺は海に浸かっている

その海面は徐々に上がっていき、俺を苦しめていく

もがき苦しみながら、誰もいないのに、誰かに向かって手を伸ばしている

手を伸ばせば、誰かが助けてくれると思ったのだろう

だが、実際には誰もいない

伸ばした手は、空気を掴んだだけだった
どッックンッっ!!!!!!!


ハァ…ハァ…ハァハァ…



ガラガラガラガラ


「通路を空けてくださいっ!!!」

ラルは倒れたその後、倒れているところを親が見つけ、すぐさま救急車で運ばれた

「ラルっ!!!ラルっ…!!」

ラルの母親がラルの手をしっかりと握る

ハァハァ…ハァ…ハァ

ラルは苦しそうに呼吸をする
彼女の口を覆う呼吸器は曇ったり晴れたりの連続だった

彼女の瞳は濡れていくばかりだった

「緊急オペを行います
ご両親のお二人はここでお待ちください」

ラルは手術室へと運ばれる

医師が彼女の親へそう告げると手術室へと入っていった

ラルの両親はただ、ガラス越しにいる苦しそうにしているラルを見守るしかなかった








***

家についてから、暫く寝ていた
ラルがさっき言ったことが気になって考えている内に寝てしまった

そして、起きたら家は騒がしく親が話していた

なんか、昨日のラルの電話以来、胸騒ぎがする

そんなことを考えていると、親が部屋に入ってきた


「…どうしたんだよ
真面目な顔して……」

「……大変なことが起きた」

「え…」














ラルちゃんが倒れた」





















時間が止まったみたいだった

信じられなかった
さっきまで一緒にいたラルが倒れるなんて
しかも俺と別れた直後

「…………っ」

「コロネロ
お前は今すぐ病院に…」

親父が言い終わる前に俺は部屋から出て、外へ飛び出していた

病院に向かおうと思って飛び出したわけじゃない

ただ、逃げたかった
あの場から

自分があの時、ラルが外に出ること止めておけば、ラルは助かったかもしれない

肝心な時にラルの危機に気づくことが出来ない

今、自分が病院にいってどうすればいいんだ
どういう顔でラルに会えば…

もし、ラルが死んでしまったら…








『コロネロ…もし生まれ変わったら…小さい頃の約束守ってくれよ…』

さっき、ラルが小さな声で呟いた言葉が脳裏に浮かぶ

ラル…

お前は自分がもう死ぬって分かっていたのか…
分かっていて…あんなこと…


「…小さい頃の約束……!!!!」


俺は小さい頃の約束を思い出した

そして、向かった



病院へ







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