犬猫愛護週間 兄貴が、犬になった 夢を、みた。 犬猫愛護週間 「ハハハ、なんだそれ。」 いたく真面目に、ぽそりと呟いた言葉に、軽い笑い声が返ってきた。 ――四つ脚で立って、だいたい俺の腰あたり、かなり大型犬だったよ、黒くて、毛並みはかたくて。 夢でみた「兄」のすがたを、思いだしながら話す。 我ながら間抜けな事を口走ってしまった、と良守は思った。 眠気とは裏腹に饒舌な自分に不可解な違和を感じたものだが。 ――――……‥・ 『おまえの顔、みたくなってね。』 とか、またおかしくて勝手な理由で、彼がきた。 しらねぇ、出てけ、オマエ仕事あるだろ。 とか、ひとしきりお決まりのヒドイ言葉を吐いて、縁側にすわった彼を見下ろす。 いつもならそのまま部屋に上って、夜の仕事の為に一寝入り、といくところだった。 ふと、返事を期待するように呟いてしまったのは、今朝見た夢を、思い出してしまった所為。 「俺が帰って来たら、いたんだ。」 いつものオマエみたいに。(連絡もなしに。) 呟いたはいいが何だか面倒で、それに眠気も増してきたので、段々と語尾が萎んでくる。同時に漏らしたちいさな嫌味も薄れてゆく。 (犬に‘連絡’という概念があるかはさておき) → |