夢の続きのようなもの
ずいぶんと日が沈むのも早くなって、何日かとても冷える朝が続いた。
冬がきたのだ。
起きたくないなあ。
きりりと冴える冬の朝独特の気配を感じ、深みに沈んでいた良守の意識が、ぼんやりと淵まで上ってくる。自分の体温でまだあたたかな寝床で目を閉じたまま、寝ている間にすこしずれたらしい布団をしっかりとかけ直す。
今朝はだいぶ冷え込んだのか、布団から出ていた肩が冷たい。ぶるりとひとつ身震いをして、仄かに暖かい布団に安堵する。
しかし、なんだか狭い、いやなにかがおかしい。
どうして俺はこんなに布団の端にいるんだ?
どうして俺の肩は素肌がでているんだ?
どうして、俺以外の人の気配がするんだ?
「―――どうしてオマエがいるんだーー!!!」
恐る恐る開いた目に、写るはずのないひとの影。早朝の霞んだ意識と空気が、いっぺんに晴れた。
「ん……、おはよ……良守。」
まだ早くないか…と、目を閉じたまま、彼はくちの中でむにゃむにゃと呟いた。
寄り添い腕を回す彼の鳩尾に容赦無い一発をおみまいしてから、急いで寝床のそばに落ちていた冷えきった寝間着を着込む。寒いけれど無いよりはマシだ。
う、とか、むぐ、とか言いながら青い顔をして蹲っている兄へ振り返って、布団を奪い取る。
「なんでてめーがいんだ!しかもなんで脱いでんだ!」
言いつつ兄を寝床から蹴飛ばして、もう一度布団に入り直す。まだ起きるには早い時間だった。
おれの貴重な睡眠時間を奪いやがって、と転がる兄に背を向けて横になる。
騒動で冷えた体にほんのりとした温もりがしみた。
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