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「良守〜…俺もさぶいんだけど。」
ようやく起き上がり、のたりとその大きな身体を持ち上げて、背を向けたままの良守に訴える。
「しるか、自分がわるいんだろ。さっさと服きてさっさと出てけ。」
穏やかな眠りを邪魔された怒りでいつもより言葉に毒がまじる。
大体こいつはなんで毎回来る度に訳の分からないことを、しかもいちいち唐突すぎるし。
苛々としながら、ようやっと暖まってきた布団の中で目をつぶった瞬間、布団がめくられて冷たい空気が滑り込んで来た。
「てめっバカ入ってくんな、寒い!」
後ろからぎゅう、と冷たい腕に抱き寄せられた。
一応いつもの着物は羽織ったらしいが、急に背後から密着してきた身体の冷たさに良守は首を竦める。
そのまま足を絡めとられ、身動きが取れなくなった。
「良守、お前結構体温高いね。」
あったかいなぁ、と抱き締めた良守の首をさわさわと撫でさすりながら正守が言う。
身体よりも冷たかった指に触れられ、ぴくん、と身体が跳ねた。
「…っ指冷たい、し…寒いし、足重い。つーか俺の布団に勝手に入んな。」
たいそう理不尽で好き放題やる背中の兄に呆れて、苛々と不満を洩らす。
良守が吐いた言葉を聞いていないふうに、正守は首を撫ぜていた大きな手を肩から脇腹、腰へと、良守の身体のラインをなぞるように滑らせてから、その小さな身体を抱き締めた。
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