君のせい。
無自覚。
そっと、机に突っ伏している幼馴染みの前髪をよけて額に触れる。
普段は大人ぶってる実のあどけない寝顔に、俺は弟を見るような感覚を抱いている。
「ふぁ…あ、司、部活終わった?」
目を擦りながら顔を上げた実に、思わず笑みがこぼれる。
「ん。帰ろ、もう暗くなってる」
「え、つうか何、もー九時じゃん!?んだよ起こせよー」
むっとした顔をする実も可愛い。でも、寝顔はもっと。
「お前の寝顔が可愛すぎて起こし忘れてた」
二時間も経っちゃった。ヘラリと笑った俺にさすがの実もドン引きかなぁなんて思ったけど、実は何故か顔を真っ赤にしながら俺を抱き締めてきた。
「あーもー、お前のがよっぽど可愛いっつの。司ぁ、大っ好きだー!」
「えー、本当?兄ちゃん嬉しいなぁ」
まるで弟に抱きつかれているようでつい口が滑ってしまった。実の様子を伺うように見上げると、今度こそドン引きな顔をされてしまった。
「お、とうと?俺のがガタイもいいし誕生日も早いのに、よりによって弟!?」
「あ、ごめん、実が兄ちゃんの方が良かった?」
俺としては兄弟みたいって思ってるわけだからどっちでもいいんだけど。
「そういう問題じゃねぇっ!!」
「もーわがままだなぁ。でもそんなとこも大好きだよ、お兄ちゃん?」
瞬間、実は鼻血を吹いた。
「えぇ、何でいきなり…大丈夫!?上向いちゃダメ、鼻おさえてっ」
ボタボタとワイシャツを血で染める実の鼻にティッシュを詰めながら、やっぱり手のかかる弟だなぁなんて思ったのは秘密だ。
***
司:身長170前半。運動部。無自覚に他人を振り回す。中学で身長が止まる。
実:身長180後半。勝手に司に振り回される。中学までは司より小さかった。
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