[携帯モード] [URL送信]

main
その日は唐突に

ハロー、どうも鯉吹です
この度めだたく俺と兄貴は5歳になりました

え?早すぎるって?バカ野郎、親父とじじい共の親ばかっぷりに呆れる毎日だったよ

もっといえば、誰が好き好んで自分の赤ん坊時代を話そうと思うんだ?

黒歴史だよ、ほんと恥ずかしいくらいの




「鯉吹!庭で遊ぼう!」
『おー、兄貴か。わかったよ』


兄貴ことリクオと共に庭で走り回って遊んでいると、親父が首無を引き連れてやってきた


「リクオ、鯉吹」
「お父さん!」
『親父、首無も』


嬉しそうに親父に走っていく兄貴はマジ天使だった

そんな兄貴を親父は高い高いの要領で抱き上げた
俺も手招きされたから、親父の足元まで小走りで向かった

そして、唐突に首無にむかって切り出した


「首無。オレはこいつらに、選ばせたいと思ってんのよ。人か...妖か」
「二代目...」


親父が話し出した内容は、原作で見た一つ
まさか、こんなにも早くに、そしていきなり
こんな話題になるとは思わなかったが


「一度妖怪任侠の世界に入っちまったら、もう戻れねぇ。半妖のオレは妖を選んだが、こいつらには妖の血が四分の一しか流れてね ぇ こいつらの人生は、こいつら自身が選ぶんだ
...」
「しかし...もしものことがあったら!」
「首無ィー...お前さんはホントマジメだねぇー 今日もあやとり教えたな?」


そうそう、一昨日やっと五段梯子と東京タワーができるようになったんだ。
兄貴はやっと箒ができてたっけな


「“将軍様の御下"でもねぇ、“帝都"でもねぇ。
“東京"になって、また闇は薄まった...。まるで鯉吹とリクオの血みてぇに」


自分の手を見つめてみた
一見人間と変わらないこの体は、実は違う

たとえ四分の一であれども、俺の中には妖怪の血が流れている


「そう、────こいつらが象徴なのさ。
人と妖の未来のな......」


そう言って、リクオの頭をくしゃりと撫でる


「だからこいつらの前では、あんまり妖の世界のことは語らずだ。“親父"にもそうやってキツく言っとけ」


今度は俺の頭を撫で始めた


「自分で気づいたのなら、そんとき見せてやりゃあいい。な?二人とも」


そう言って、もうこの話は終わりだとでもいうように、さっきよりも強く俺と兄貴の頭をぐしゃぐしゃと撫で始めた


「わーっ!お父さん強いよー!」


きゃーきゃー笑って楽しむ兄貴を横目に見ながら、俺は親父に問いかけた


『なぁ、親父。...選ぶのは、俺の意思でいいんだよな』
「!...ああ」


まさか、5歳のガキが理解してるとは思わなかったのか、親父と首無までもが驚いていた


『"未来“は"共存“...俺はそう考える。
闇が薄まって、野望もそれに比例して小さくなってるのも、わかる。...でも、逆にこの機を狙う輩も大勢でてくるのも、事実』
「......」
「鯉吹様...」


親父と首無の視線が気になるが、ちょっとだけ黙って聞いててくれ


『人も妖も、皆が平等に平和に。...まぁ、任侠世界の俺たちにそれを求めんのもおかしいが。...ただ、俺が望むのはそんな世』


楽しげに、幸せそうに笑う兄貴や母さん
親父にじじい、組のみんな

これから出会う、カナちゃんや探偵団の奴等

敵になるであろう、誰か

そんなだれもが悲しまないような
理想ばかりで、現実味の欠片もない

そんな世、そんな世界


『...だから、俺はどちらも選ばない
人にも妖にもつかない、"中立“になる。

助けを求めるものには、力をかそう
闘いを望むものには、引導を渡そう

どれも難しいし、一番大変な道だろうが、
それで皆が住みやすい世になるのなら
......俺は選ばない』


話をしている間、俺は一切親父も首無も見なかった。

こんな話を、物事の重さも測れないがきんちょがいっちょ前にベラベラ話して、
少し、というかかなりビビっていた


「鯉吹!こっちで遊ぼう!」
『ん、ああ』


兄貴ナイス、これで二人の目線から逃れられる!!
















鯉伴side




「まさか鯉吹様がそんなことを考えていたとは......」
「ほんとになぁ...」


昔から鯉吹はかなり大人びたところがあった
生まれた時から、周りからの期待は高く、
あいつもそれに応えるように聡くなった
いや、元からあいつは聡かったか

だが、周りからの期待が大きく表立って言われるようになるにつれて、感情を隠すようになった

そして、更に期待に応えようと見えないところで努力を続けている

まだ5歳の子供が、大人からの期待に、重圧に答えようとしていた

周りの余計なほどの重圧に、子供は反抗するか、我慢をする

どちらにしても、悪いことにはかわりはねえ

しかも鯉吹は隠すのが上手い
まだ小さい頃(今も十分ちいせぇが)周りの迷惑になりたくなかったのか、はたまたリクオが風邪で自分もなるわけにはいかねぇと思ったのか、自分の風邪をだまってたことがあった

あの時は、オレも親父も若菜も騙されて、
鯉吹が倒れるまで気付かなかった

それから、鯉吹を注意深く見ていて、やっと最近あいつが嘘をついてるかどうか見分けられるようになってきた

まぁ、それだけ隠すのが上手い

しかも、聡いからこそ、これくらいのことはきっとあいつにはお見通しだろう

言わなくても、理解してくれる


「...出来た息子だ」


出来すぎなくらいに、いい息子だ

だが、ちょっとくれぇは肩の力、抜いた方が楽になんじゃないのかい?





















ーー中立になることを決めました。

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!