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再会



If you have great luck. that can't compared
with other people What's you gonna do ?


























━━もしお前が、他人と比べ物にならないくらいの幸運の持ち主だったらどうする?━━




























───マジソン刑務所










「──ジャン!ジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテ!」


ブーブーとベルが鳴り響く中、一人の囚人が未だに目を覚まさないでいた


「起床時間だ、点呼が終わったら動いていいぞ」
「ん〜女神のネーチャンが離してくんねぇ」
「起きろ!ジャンカルロ・ブルボン・デルヴぉん!?」


警備員の男は、もう一度名前をよぼうとするが、ガチッと音がするほどかんだ


「ぷ、分かったよジョシュア。チャオ」


起き上がった囚人は金髪の男
肩が剥き出しになる形の囚人服を着ている
そして肩にはCR―5の刺青

「お前の顔を見るとホッとするな」
「へぇ俺ってそんなに癒し系?」
「バーカ、昨夜の間に脱獄してなくてよかったってことだよ。もう4回だぞ幸運な奴め
例のアレでお前も大変だろうが今回は大人しくしててくれよ?
あぁそれと、アイツも起こしておいてくれ」


ジョシュアはそう言うと、すぐに出ていった


「(気が向いたらな)」


運の良い奴だ
と、誰もが俺のこもをいう
探し物や尋ね人は簡単に見つかる、車が事故った時も俺だけ無傷だった

顔も覚えていない母親の形見は失くしても何故か必ず戻ってくる

十六の歳には地元マフィアへ━━
以来 刑務所を出たり入ったり、既に脱獄は趣味だ

とにかく俺は他人から見て“ズバ抜けて運の良い男"──…らしい

おかげで妙な二つ名までついちまった


「さて、眠り姫でも起こしに行きますか」


俺の隣の房に居るのはレイ・ファントムランス・狩魔

女みてーに綺麗な男
名前はアレだが、生粋の東洋人でジャパニーズ。この辺じゃなかり珍しい

知り合ったのはやっぱりムショの中
俺はたまたま窃盗で、アイツは殺しでとっ捕まってた

初めはそのキレイな顔とえらくサラサラして質の良い髪に惹かれた

とんでもねぇお坊ちゃんかお嬢様なんだろとたタカをくくっていたが、とんだ誤算だった

見た目と違って云う事為すこと全てが荒々しい奴で、そのくせ只者じゃないくらいの所業、身のこなし方

とーぜん興味が湧いて、そっからはずっとつきまとってた
いやいやだったレイも、段々と話してくれるようになって今ではいいムショ友達だ

俺が脱獄するのとカブらないように配慮しつつ、レイもちょくちょく脱獄してっから、脱獄仲間でもある


「レイちゃーん、朝だぜー?」


ゆさゆさと身体を揺らしていると、ゆっくりと目を開けて身体を起こした


『……はよ、ジャン』
「おはよーさん、飯に行こーぜ?」
『あァ…』


レイは首の下までずらしてあった黒い口布をずり上げると、鼻から下顔半分を全て隠した


「もったいねーなー…」
『?』
「なんで隠しちまうの?キレーな顔」
『歯、みせたくねェからな』


オラ行くぞ、なんて乱暴な口ぶりでベットから蹴落された
しゃれんなんねー…


「げ」
『あ?』


転がったまま鉄格子の向こう側を見たジャンは、顔を歪ませてまた俺の方に起き上がってきた


「無視すんじゃねぇ!」


ガンッ、と俺の房の扉を蹴りつけてきたのは

CR―5 幹部 第5位
イヴァン・フィオーレだった


「わざとらしーんだよ、挨拶ぐらいしやがれ。上の者に対する礼儀がなっちゃねぇぜ」


その前にテメェが礼儀の勉強してこい、権力振りかざしていい気になってんじゃねェよ

と、言いたい所だが、この間うっかり口を滑らせて似たようなこと言って喧嘩になって
みっちり絞られちまったから、我慢しよう


「掟を知らねぇとはいわせねぇぞ!」


──服従と沈黙の掟(オメルタ)──

フン、くだらねェ
俺にとってはカポだけが服従の対象
新参者でしかも去年幹部になったばっかの馬鹿に敬語なんか使えっかよ

多分、ジャンも同じような気分だろうな


「今日こそツラかせ、じっくり教育してやろうじゃねぇかレイもだ!」
「『(無視してぇ…)』」


あーだこーだしてるうちに、ジャンがイヴァンにとっ捕まった
あーあーうるせェ…


「おはようジャン、レイ朝飯行こうぜ」


房に顔を出してきたのは
CR―5 幹部 第2位
ベルナルド・オルトラーニ

この男は古参の幹部だが、ジャンとは古馴染みらしく、ジャンの友である俺にも良くしてくれてるかなり気楽な相手だ


「そんなにアタシの傍に居たかったの?ダーリン」
「お前が浮気しないか気が気じゃなかったんだよ、ハニー」


フザけたジョークにもすぐに対応してくれる
面白い奴、ただ…


「それに、バンビーノがいつ悪さしないか冷や冷やしてたよ」
「あら、それはアタシもよー?」
『…俺はそんなに悪い事はしてねェよ、マミー?』


そのノリを、俺にさえ持ってこなけりゃな
そら、気まずくなったイヴァンがどっか行っちまった


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あきゅろす。
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