[携帯モード] [URL送信]

main
やっと5ヶ月たちました


やっと地獄であった母乳から開放されました

この歳で(精神年齢はもう15歳)母乳というのはかなりこっ恥ずかしかったが、もう今日から離乳食にはいる

ドロドロだろうけど、それかヨーグルトとか
せんべいみたいなお菓子だろうけど、
でも母乳よりはマシだ

で、ちょっと早いだろうけど、もう喋ろうと思う

だって、そろそろ意思を伝えたい

兄のリクオは、まだ喋んないけど、別にいいよね!

初めは…そうだなぁ、親父にするか
でも流石に親父は可哀想だから、父さん
にしといてやろっと

で、次は母さんで、次はじじいだな
これもじじいは可哀想だから…恥ずかしいが
じいじでいこう

そうこう策を練っているウチに、何処から出てくるのか親父が現れた


「鯉吹、お目覚めかい?どれ、父さんとどっか遊びに行くか?」


片目をつむって誘ってくる親父に
ニッコリ笑いかけながら


『とーしゃんっ!』


と、言ってみた
で、案の定呂律がまわらずこうなった
くっそ、ここまでとは予想外だぜ
ま、言えたからいっか
これからドンドン言ってこう


「り、鯉吹…今なんて…」
『とーしゃんっ!しゅきー!!』


好きってのはマジだぞ
俺の事溺愛してくれてるし、カッコイイしイケメンだし、それに、やっぱ親父だしな

そしたら親父のやつはダッシュで母さんのところにいって、すぐ報告してた


「若菜っ!鯉吹が喋ったぞ!」
「まぁ、本当に!?」
『とーしゃんっ!かーしゃんっ!』
「!!」
「ええそうよ、あなたのお母さんとお父さんよ」


ニコニコしながら母さんは俺の事撫でてきた
お返しに俺も母さんの頭を撫でると、母さんも流石にびっくりし
口に手を当てていた


「あらあら、頭のいい子ね。ありがとう鯉吹」


いえいえどう致しましてー
と笑いあって親子三人でいたら、じじいが
何人かと一緒に突っ込んできた


「鯉吹が喋ったじゃと!?」


情報はやっ!?
まあ折角来てくれたから呼んでやろう


『じーじっ!』
「!」


やーい、固まってやんの
親父もニヤニヤしながら見てるし


『じーじっ!抱っこー』


試しに抱っこを要求すれば、それはもうギクシャクと俺を抱っこした


「鯉吹、お主聡明な奴じゃのう、このくらいで喋るやつは中々おらんぞ?」


チッ、やっぱそう簡単にずっと余裕無くさせるのは無理だったか

まあ僅かだけど崩せたからよしとしよう

んじゃあ、後は一緒にきた奴の名前を呼んでやろっと


『くぅなしー』


くびなしーと呼んだつもりがおかしくなった
でも、首無はちゃんと理解してくれたようで
驚きつつも手を振ってくれた


『あおーくろー』


続いて青田坊と黒田坊
これはフルネームは無理だから
無難に青と黒でいかせてもらった
二人はというと、なにやら悶えている


『ちゅりゃりゃー』


な ん だ と ! ?

氷麗と呼ぶのがこんなにも難しいとはおもわなかったぞ!!
思わぬ伏兵がいたぜっ


「はわっ!?か、可愛すぎです鯉吹様!!」


ま、氷麗の可愛い顔が見れたからよしとしようかね


『きゃーすっ!』


くっ、カラスというのも難しい…!
カラス天狗ってもうこんなちっちゃいのか
あー、なんか癒される


「おお、このカラスめの名を呼んで下さるのですか!」


そんなに感動することか?
泣くほど大層なことやった覚えねぇんだけど

で、やっぱり絶対呼んでおきたいのは


『にーちゃっ!おにーちゃっ!』


リクオだよなっ!
うん、やっぱ呂律まわんなかったけど、
言ってよかったかな!

じじいの腕の中で飛び跳ねてたら、すぐにまた親父に回収された


「鯉吹、よくまあこんなに名前が言えたなあ。流石オレの息子だねぇ」
『とーしゃんっ!じまん?』
「!!……ああそうだな、お前さんはオレの自慢の息子さ」


近年稀に見るニッコリとした親父の笑い方に
不覚にも見惚れてしまった

くそ、これだから顔のいいやつは…!

俺はカッコイイじゃなくて綺麗だからなぁ
山吹乙女にそっくりなんじゃ必然的にそうなるんだろうけども…

なんか、悔しい

あーあ、せめて妖怪の時はカッコイイといいなー、リクオもなんだかんだでカッコイイからなぁ

ま、性格だけでも頑張ろう
これで女々しかったらホントに女だ
一人称とか俺だもうこれ絶対

喧嘩も強くなろう、剣術は教えてもらって…
てか、俺剣道やってたからわりといけんじゃね?

軽く日本一とか連覇してたけど、今考えりゃものすげーことじゃね?
あれ普通に大人とか混じってたよな?
なんか知らねぇけど外人もいたよな?

…うわー、なんで勝ててたんだろ
しかも女の身で。俺かなり強かったんだなあ

でもそれは人間の時だけだろうし

やっぱ会得しとかなきゃいけねぇんだよなー

鬼發とか鬼憑とか鬼纏とかなあー

明鏡止水と鏡花水月はまぁなんとななんだろ
親父だって見様見真似で出来てんだし

鬼纏はなー、まず信頼関係結ばねぇとなー
やっぱやるなら側近だよな、リクオの百鬼夜行になるけど、まあどうにかなるだろ

よし、そうしよう決めた

また俺が考え事に夢中になってる間にじじいが俺を庭に連れ出していた

どこに連れてくんだと思ったら、そりゃあ
立派な枝垂れ桜
の木の前までだった

これはアレだ、リクオが登ってた桜の木だろ
なんでまたこんなとこに?


「きれいじゃろ、鯉吹……そういやぁ、珱姫も桜が満開の日に産まれたと言っとったわい
あやつにも孫の顔を見せたかったのお…」


しみじみと語るじじいの顔は、どことなく
哀愁漂っていて、魑魅魍魎の主とか妖怪の総大将とか関係ない

ただただ亡き妻を想うただの男のようだった

同時に珱姫の顔も思い出して、あの可愛らしい顔で笑いかける姿を想像すると、
ああもういないのかと嫌でもわからされる


『あや…し……さま』


“妖様"
そう言って健気におしとやかに笑う珱姫を
俺も見てみたかったなあ

フッと視線を感じてとなりを見ると、じじいが目ん玉ガン開きにして俺の事みてた

あれ?俺なんかやったかな?

考えて考えて、数秒前に自分がやっちまったことに気付いた

ああぁあぁぁ!?
俺、妖様っていってた!?
やっべ、これ問い詰められたりすんのか…?
やっちまった、どうしよう…

一人でビクビクしてると、じじいが突然
肩を震わせて笑い初めた


「不思議なもんじゃ……お主には珱姫の声が聞こえたのかい?」


なんて的外れなこといってたけど、
なんか嬉しそうだったし、まあ喋った俺も悪いからそのままにしとくことにした

そのあとは、気が済むまで桜の前にいて、
いつの間にか寝ちまったのか布団に戻されてたのを知ったのは翌日起きてからだった








ーー鯉吹、喋れるようになりました



[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!