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壱の風


ーーー華蘭、と怜悧な下駄の音が響きわたる


項下の肩に届くか届くまいかギリギリにある金髪は金糸に見間違うほど流麗で、歩く度に揺れ動きサラサラと流れる

顔立ちは幼くも妖艷で、澄んだ空や海を想像させる眼や白磁器のように白く絹のようにきめ細かい肌は男女問わずに人目をひいた

体つきは痩身痩躯だが程よい筋肉がついていて、その身に纏う黒い着流しが白い肌を良く際立たせている。上から羽織る花と蝶模様の派手な羽織や手に持つ煙管、また腰からのびる刀とトンファーが何処か危険な香りも匂わせていた

気品を漂わせながら同時に妖艷さを出し、
蠱惑的な雰囲気と危険な香りを合わせ持つ

賑やかな楼閣が建ち並び、客や女たちが声を掛ける中

ーーー彼、いや彼女の周りだけは清、と静まり返っていた

それは誰もが彼女の纏う空気に圧倒され、
言葉や表情すら表に出すことがままならなかったせいだった

淡々と煙管を吸い歩いていた彼女は、奥に悠然と建つ大楼閣へと足を運んでいた


『フゥー…さて、月詠は何処にいンのかねェ?』


ニヤリ、と口の端を吊り上げながら鋭く眼光を細め喉でクツクツと笑いながら
彼女ーー琥乃玻は吉原の中で一番大きい遊郭を目指した







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あきゅろす。
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