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第二幕
ザァ…、ザァ…、

ユラユラ、ユラユラ

あれ、可笑しいな…俺死んだんじゃなかったっけ…?

なんで海の中にいんだろ、ここどこだ…?

ボンヤリとした思考をなんとか回復させ、
板に乗せられて揺れていた体を起こすと
そこは大海原の海のど真ん中だった

『なんで海…?』

毒回って死んだんじゃなかったか?
潔く事実を受けいれると、さっきまで忘れていた傷の痛みと体の熱さがぶり返してきた

『取り敢えず、喰いモン…あ?』

見ても仕方ない海を眺めていたら、某桃から生まれた赤ん坊よろしくの如く、
何やら怪しい色と形をした果物が流れてきた

『…背に腹は変えられん、か…』

意を決してがちゅり、と一口含んだらーーー
次の瞬間後悔した

『うぉええぇええぇぇええ!!??』

まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい…

苦味と甘さと辛さと酸っぱいのと色々混ざったうえに上から蜂蜜だの醤油だの塩やらココアパウダーやらを掛けて乗せて1週間放置して腐らせたような…もはやそれすらもマシと思えるような不味さだった

『うぉえっ……まっず…』

しかもコレ喰ってからなんだか力が入らねぇし体がダルい、どういうこった…

『(やべ…し、ぬ…)』

ズルズルと体が落ちていくのを頭の隅でかんじながら、俺は意識を失った

















































〜モビー・ディック号〜

「…いい天気だよい」

「な〜に辛気臭いこといってんだ?マルコ」

「うるさいよい」

「ヒドい!」

雲ひとつないカラッカラに晴れた空
中々、滅多におきない気候だねい
久々に見るもんだから、気が舞い上がっちまったか…










「うわ〜!!マルコ隊長!サッチ隊長!」

「どうしたよい」

「こ、子供が溺れてるんですよー!!」

「は?」

子供?ガキ?
なんでそんな親の手元置いとかなきゃなにもできねェ子供が溺れてるんだよい!?

「バカ野郎ー!早く助けてやれ!!」

「ならテメェが行けよい!」

サッチを蹴りあげて海に落とし、ロープを持ってこさせた













「大丈夫かっ!?おいっ!」

俺の腕の中にいる子供は、グッタリしたままピクリとも動かない
顔は青を通り越して蒼白だし、息も荒い
身体中にケガをおって熱をもってるみたいだった
取り敢えず、運んで治療をしねェと!



























「おーい!マルコー!!」

「見つけたかよい!」

「あぁ、早く引っ張ってくれ!」

サッチにロープを引っ掛けて甲板に上げると
急いだふうにはやく船医を呼ぶように言っていた

走って船医が駆けつけ軽くだが身体をみると
見る見るうちに顔を歪ませ始めた

「…そんなに酷いのかい?」

「ひでェもんじゃねぇな、身体中ケガだらけで、おまけに全身に毒が回ってやがる
急いで医務室に!まだ助かるっ!!」

「わ、わかった!」

サッチが医務室に駆け込むのを見届け、親父の所へむかった






「オヤジ」

「誰だァ」

「俺だよい」

「入れェ」














「どうした?息子よ」

「子供を拾ったよい」

「ほう、今は何処に居る?」

「医務室だよい
ひでェケガだったからねい
今ジイさんが治療してくれてるよい」

「かなりひでェのか?」

「…そうだねい、毒が回ってるらしいよい、
全身も傷だらけらしいねい」

「そりゃあひでェなァ、…マルコ、そいつの目が覚めたら、俺のトコ連れてこい」

「わかったよい…」

また息子にするとかいいそうだねい…

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あきゅろす。
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