目指せ球界の星!プロ野球☆スター街道
☆第2話―自分の立場―
小波「う〜・・・・、どうしよう・・・・。来年結果が出なかったらクビだなんて・・・・。」
やはりラスト1年の宣告が効いたのか、かなりの落ち込みようで、球団事務所を離れ、途方に暮れており、ただ街を歩き続けていた。
小波「クビにされて、悪い人達に人身売買とかされたらどうしよう・・・・。」
悪「コイツこれくらいでどうだ?」
悪「・・・・悪くないな。契約成立だ。」
小波「うぅ・・・・。」
悪「け!まぁ色々と金になりそうだからな。期待してるぜ。ケケケ・・・・。」
小波「イヤだぁー!!!!!」
・・・・絶対そんなことは有り得ない。
小波「とにかく、明日からシーズンオフだし実家に帰ろう。」
小波くんはまだ入団3年目ということもあり、寮生活をしていた。
もちろん1人暮らしをする余裕もなく、実家から球団本部までは県を幾つもの跨ぐため、実質まだ家を持っていない。
実家に帰るため、新幹線へと乗車した小波くん。ただ平然と続く山や海岸線を窓側から見ながら、ふとこんなことを思い始めた。
(選手「たく・・・・祖父が泣くぞ。」)
(オーナー「全く、本当君の孫なのかね・・・・。」)
小波「・・・・おじいちゃん。」
小波くんの祖父である『小波球蔵』。頑張パワスルズに所属しており、数々の偉大記録を達成し、戦後の日本プロ野球を支えた大打者だ。
それと同時にファン・選手などプロ野球を愛する人々から慕われミスターパワスルズと呼ばれていた。
幼い頃に見たおじいちゃんの引退試合。そのときのおじいちゃんは凄くかっこよかった。そんなおじいちゃんに憧れ、「僕もおじいちゃんみたいになるんだ!」と誓い、見事にプロ野球選手になるところまで上り詰めた。
だが現実はプロ3年目、未だ1軍登板なしの弱虫投手・・・・。
小波「僕・・・・おじいちゃんみたいになれないや・・・・。」
気がつけば、目から涙がこぼれていた。
今までは嫌なことがあればすぐに泣き崩れていた小波くん。今回もただの弱虫からきた涙だと本人は思っていた。
だが、実際は違う。野球人として・・・・結果がでないことに対しての悔し涙であった。
小波「おじい・・・・ちゃ・・・・。」
泣き疲れたのか、そのまま深い眠りについた。そして新幹線もまた加速しながら小波くんの実家のある駅へと進むのであった。
そして数時間が経過し、実家のある街へ到着した。
小波「ん〜着いたぁ。疲れたなぁ・・・・寝てたけど。」
改札口を抜け、在来線に乗り換えるため、別のホームへ向かう小波くん。だがその時、聞き覚えのある声が小波くんを呼んだ。
六道「・・・・おい。」
小波「(ビクッ!)え?な、何!?」
六道「そんなに驚くことはないだろう・・・・。私までビックリしたぞ。」
小波「す、すみません・・・・。けれど、どうして六道さんがここに?」
この和風な感じのある女性の名前は『六道聖』。小波くんと同じバルカンズに所属している捕手で1軍レギュラーだ。
六道「私の実家はこの街にあるからな。シーズンオフだし、帰省するのが当たり前だろう。」
小波「まぁそうだけど・・・・。」
六道「お前も帰省か?」
小波「うん。僕も実家がこの街にあるんだ。」
六道「そうか・・・・偶然だな。」
小波「でも嬉しいな♪1軍レギュラーの六道さんが万年2軍の僕に話しかけてくれるなんて。」
六道「何をいう。格差なんて関係ない。同じチームメートだろう。コミュニケーションをとることは大切だ。」
小波「(さすが1軍レギュラーでチームを支える司令塔。しっかりしてるなぁ・・・・。)」
六道「・・・・少し小腹が空いてきたな。どうだ?少し食事でもしないか?」
小波「え!?いいの?行く!」
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