MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第58話 自己紹介
◆◆◆
撫子「―――それじゃあ、まずは自己紹介といくか」
紅薔薇撫子はチョークを手に取り、黒板に自分の名前を書く。
撫子「私がこのクラスの担任となった紅薔薇撫子だ。担当科目は世界史。そして此方が……」
教壇に立つ撫子の横に、スーツを着た白銀髪の男が一歩前に出た。
レオンハルト「副担任のレオンハルト・オルティシア。担当科目は英語と魔法科だ。ま、よろしく」
勇人(コイツが副担任かよ……)
副担任に就いたということは一年近くこのクラスで顔を合わせるという事で、勇人はめんどくさそうに、眉間にシワを寄せる。
勇人(ま……俺はともかくとしても、色んなヤツがいるから仕方がないか)
樹「はい! 紅薔薇先生っ!!」
ビシィッ!!と勢い良く手を上げて起立した緑葉樹。
撫子「何だ?」
樹「あなたの個人的入学式に参加するにはどうしたらいいですか!?」
撫子「最低限言葉を解す霊長類が条件だな」
自己紹介をするまでもなく緑葉樹がどういった人間なのかが、クラス全体に知れ渡った瞬間だった。
教師の自己紹介が終わり、次は生徒の自己紹介の番。
レオンハルト「じゃあ、まずは総会長」
その言葉に、勇人は席から立ち上がり教壇へ移動する。
教壇でクラスメイト達の顔を見る。
そして清々しい微笑を浮かべると、言った。
この人間やら神族やら魔族やらが蔓延る鳳凰学園の生徒を統べる男が皆を見て、ほんの少しだけ楽しげに……
勇人「……地獄へようこそ、新入生諸君」
その地獄、という言葉に、クラス中はポカーンとした顔をして、コイツ何言ってんだ?、的な顔になる。
撫子「…………神ヤン?」
勇人「んー?」
撫子「いや『んー?』じゃないだろ……えぇと、これお前、挨拶と自己紹介だぞ?」
勇人「そうだな」
撫子「じゃあ入学してきたみんなに、入学おめでとうとか学園の説明とか自己紹介とかしろ」
勇人「詳しくは『世界図絵』を参考にしろ」
撫子「だからそーじゃないだろ!」
勇人「ふむ」
と、勇人は頷いてから……
勇人「俺、最強天才総会長。お前らは俺の奴隷―――」
撫子「違ぁぁあう!! いい加減にしろぉぉぉぉぉぉ!!!!」
みんな((((何、この学校…………))))
みんなの心が1つになり、生徒のトップとして君臨している神爪勇人という人物がどーいう男なのか、再認識した瞬間だった。
◆◆◆
新羅「―――岸谷新羅です。これからよろしくお願いします」
勇人の自己紹介後、何人か自己紹介を終えて席に着く。
次は少し緊張気味な少女が席から立ち、自己紹介する。
美波「シマダ、ミナミ、でス。よろシくお願いしマす」
彼女がそう言うと、教室にいる皆(勇人等一部を除く)が目を丸くした。
レオンハルト「島田はドイツからの帰国子女だそうだ。日本にはつい最近帰国したばかりだから、お前ら色々と助けてやりなさい」
副担任のレオンハルトがそう言うと、皆は納得したように頷いた。
雄二「神無月中学出身、坂本雄二だ」
島田美波の次に、坂本雄二は短い自己紹介をして席に座った。
ラフ…というよりは荒っぽい雰囲気の男子で、愛想もあまりない感じ。そんな彼を見て、周りの一部の生徒が小さな声で囁き合っていた。
「アイツ、例の神無月中学の………」「悪鬼羅刹って噂の………」「かなりヤるヤツらしいぞ………」「つーか、さっきの総会長といい平和島静雄といい………」「何でこのクラス物騒なヤツ多いんだよ………」
雄二「………フン」
静雄「………チッ」
勇人「ケケケケ………」
そんなざわめきに対して各々に反応する3人。
次の自己紹介。今度の生徒は少女………
秀吉「木下秀吉じゃ。よろしく頼む」
……ではなく、れっきとした男子である。
「おいおい、アイツホントに男なのか……!?」「渡良瀬もどう見たって女子だろ!?」「実は2人とも女だったりしないのか!?」
またもやざわめきが聞こえるが、秀吉の耳には届いておらず、気にせず席に座る。
次の自己紹介は、今度こそ男子である。
康太「…………土屋康太。趣味は、盗さ――何もない。特技は、盗ちょ――特にない」
そう告げる彼のポケットからは、デジタルカメラやボイスレコーダーが顔を覗かせていた。
クラス中「「「「……………」」」」
みんな訝しげな視線を康太に送るが、一部の生徒は……
「ま、まさかアイツは……」「●●中学の寡黙なる性職者……」「あのムッツリーニか!?」
と、驚愕していた。一部の者達は崇拝の視線すら向けている。
そして次は、また男子。
明久「長月中学出身の吉井明久です。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げたその男子は―――何故か他の男子とは違って、上着だけセーラー服を着ていた。
みんな((((Σこのクラス絶対何かオカシイだろ…………!?))))
挨拶だけにも関わらず、あまりにインパクトのあるクラスメイト達。いつの間にか自己紹介が終わっていた。
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