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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第44話 霧羽 香澄





◆◆◆



まだ本校で卒業パーティーが行われているとはいえ、付属校舎は既に人気がなく静寂に包まれている。



付属校舎は暗く、電気は点いていない。その暗闇の中を懐中電灯もなしに進む勇人。





――――トゥットゥルットゥ〜♪



勇人「ん?」



ズボンのポケットが振動し、着信音が流れる。勇人は携帯を引っ張り出し、応答のキーを押した。





杉並『どんな様子だ? 幽霊の尻尾でも捕まえたか?』


勇人「まだ、なーんも出てきてねぇよ」


杉並『姿を見かけたらすかさずカメラに収めるのだぞ』


勇人「………カメラに幽霊が写るとは思えねぇがな」




よほど霊力の濃い霊体でもない限りは…………。





勇人「で、その幽霊とやらは何処に現れるんだ?」


杉並『なんだ、知らんのか?』


勇人「知るわけねーだろ」



噂だけなら勇人の耳にも入っているが、おそらく風見学園七不思議と同じような胡散臭い話だろう、位にしか勇人は捕らえていない。





杉並『そうか………………

































……………実は俺も知らん』


勇人「…………おい」


杉並『まぁ、幽霊が現れそうな場所を捜せばいいんじゃないか?』


勇人「………俺に校舎歩き回って捜せってか?」


杉並『まぁ、そういうことになるな。頼むぞ同士よ………Σむっ? なんだ、あの発光物体は!?』



と、急に杉並の声に雑音が混ざり始めた。




勇人「あ゙ぁ゙? なんかあったか?」


杉並『ハッチが開いて中から何か降りてきたぞ!! あれはまさか、パン――――』




――――――ブチッ!!




通信はそこで突如切断された。



勇人「………………」



ツー、ツーという単調な電子音だけが繰り返される。



勇人「…………ま、いいか」



杉並のことは放っておくことにした。


アイツのことだ。たとえ宇宙人の解剖台に乗せられても無事に生還を果たすだろう。




勇人「探索を続行するか…………」




呟いた勇人は、ピタリと動きを静止する。


正面ガラスに、勇人以外の人影が白く浮かび上がっていたのだ。


だが、それだけではなく………




勇人(………当たりか?)



背後から霊力が感じ取れる。勇人は後ろを振り替えると………


















赤い髪の少女が立っていた。





勇人「………何やってんだアンタ。こんな所で?」



目付きはややキツめなものの、美少女と言ってもいい容貌をしている少女に勇人は訪ねる。



?「………アンタこそ、こんな所で何してんのよ?」


人気が全くない場所で見知らぬ男と遭遇したからか、少女は警戒した目で勇人に質問を質問で返した。


質問を質問で返すことに何か言おうとしたが、警戒心丸出しの少女相手にこんな場所で妙な誤解を与えると後々面倒な事になると思い、勇人は簡潔に事情を説明した。




?「ふーん。なんだ、だったら私と同じじゃない」


勇人「ん?」


?「だから、私も幽霊を探しに来たって言ってんの」


勇人「………暇潰しに?」


?「ううん、そういう訳じゃないけど………」


勇人「そうか………じゃあな」



勇人は少女に背を向けて歩き出す。





?「Σあ、ちょっと! 何処行くのよ!?」




歩き出す勇人を、少女は慌てて追いかけてきた。





?「待ちなさいよっ!!」



スタスタと早足で追いすがってきた少女が、目の前で行く手を塞ぐ。




勇人(暇潰しに幽霊の探索の記事書いて終わらせるつもりだったんだが……面倒な事になったなぁ)



ボリボリと頭をかきながら、勇人は軽く溜め息を吐く。





勇人「で、何か用か?」



?「アンタ、か弱き乙女を1人で放り出して行くつもりなの?」


口を尖らせて抗議の構え。



勇人「おや、暗い中1人で出歩くのが恐いのですか?“か弱き乙女(笑)”さん?」


?「………どうやらテンプルにキツーいのを一発欲しいみたいねぇ………」



“か弱き乙女”を強調してからかうように訪ねる勇人に、少女は握り締めた拳をぶるぶると震わせる。



勇人「ま、仕方ありませんね。暗い中1人でいるのが恐くて、夜トイレにも行けなくなりそうな“か弱き乙女(爆笑)”を放っておくのはさすがに良心が痛みます。ですから“Σか弱き乙女(驚愕)”である貴女と一緒に行動しても構いませんよ?」


?「〜〜〜〜〜ッ。う、うるっさいわねー!!」/////



といいつつ握った拳を背中に隠す。




?「……同じ目的の者同士、せっかく出会えたんだからさ。わざわざ別行動するのも馬鹿らしいじゃない? それに………本当のこと言うと、やっぱり1人じゃ恐かったの」



しおらしい声を出して勇人を見上げてくる瞳には、うっすらと涙が浮かんでいる。

























勇人「ま、“か弱き乙女(馬鹿)”ですからねぇー。構わねぇぜ♪」


?「くっ………」



やはり嘘泣きだったようで、勇人の全てを見透かしたような笑みに、少女は怒りを収めた。


これ以上やっても勇人相手では時間の無駄だと悟ったからだ。




香澄「私、霧羽 香澄。あんたは?」


勇人「生徒会長、神爪勇人だ」


香澄「そっ。じゃあ、勇人」


勇人「あぁ、よろしくな。“か弱き乙女(悶絶)”な香澄?」


香澄「アンタねぇ………まだそれ言う?」/////



何の因果か行動を共にすることとなった香澄と一緒に廊下を歩き始めた。






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あきゅろす。
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