MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第42話 ロスキルラベンダー
◆◆◆
ことりが卒パで演奏するバンドの最終準備に向かっている間、暇潰しに体育館裏へ足を運ぶ勇人。
アリス「………神爪、会長」
勇人「アリスか。今日も、その花の世話か?」
アリス「……………はい」
勇人「せっかくの卒パなんだ。誰かと一緒に回ってきたらどうだ?」
アリス「……………」
ふるふる、とアリスは首を振る。
勇人「回る相手がいないのか? 美春辺りに声かけりゃあ――――――」
美春「―――はいっ! 月城さん発見!! ほらっ、遊びに行きましょう!!!」
噂をすれば影か。突然美春が脇から現れて、アリスの腕を掴む。
美春「月城さんは、美春が預かりましたっ!! 一緒に温泉卓球部のバナナミルクサンデーを食べに行くんですもん!!」
アリス「……………え?」
美春「いいですよね? 月城さん」
アリス「………………あの」
美春「すっごく美味しいと評判なんです!!」
アリス「………あ、はい」
美春「はい、じゃあ行きましょう。何か言い残したことは?」
勇人(戦場へ赴くんじゃねーんだから、言い残した事って何だよ………)
アリス「…………あの……………その……………」
アリスは手袋に手を掛けようとするが、美春に腕を捕まれ外す事が出来ない。
アリス「………神爪、会長」
勇人「なんだ?」
アリス「…………その、卒業………………おめでとうございます」/////
たどたどしい言葉で、アリスがそう言った。
勇人「おう、ありがとよ」
美春「では、バナナの聖地へレッツ&ゴー!!」
アリス「……あ、ぁ」
そしてアリスは美春によって、何処か遠くへ連れ去られてしまった。
勇人「木枯らし……いや、台風みてぇなヤツだな………」
アリスがいなくなって、体育館裏は全く人気がなくなってしまった。
ただ、例のアリスが育てていた草がそよそよと風に揺れている。
勇人は適当に腰掛け、その草が風に靡いている様を眺めることにした。
勇人「……………あ゙?」
その草を眺めていると、勇人はふと気づいた。
勇人「この花………まさか、ロスキルラベンダーか?」
今まであまり良く見てなかったが、その花は間違いなくロスキルラベンダーだった。
ヨーロッパの寒い地方にあるはずの花である。
勇人「日本の気候で育つような花じゃないはずだが…………」
このロスキルラベンダーは、高地の温度が低い場所でしか育たない植物。
日本で絶対育たないというわけではないが、そう簡単には育たないはずの植物である。
勇人「………アリスには悪いが、花も咲かずに枯れ落ちるだろうな」
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