MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第41話 卒業式
◆◆◆
勇人「―――なんつーか、あっという間だな………」
今日は風見学園の卒業式。転入してまだ一ヶ月も経っていないから、勇人がそう感じるのも無理はない。
勇人「フッ。燃えたよ……燃え尽きた……………真っ白にな……………」
卒業証書が入った筒を、グッと握り締める。
勇人「………やっぱ入って約一月じゃあ、卒業っつー実感は涌かねぇな」
ことり「まぁ、無理もないっすよ。それは………」
勇人「………なんつーか、ホント祭りの好きな学園だな」
生徒会として、ことりと卒業式後に開かれる卒パの様子を見回りしているが、卒業式というよりも学園祭でしかない様相に思わず呆れてしまう。
勇人(祭りは好きだが、卒業式なんだからもうちっと卒業生を祝おうぜ)
卒業式の空気に飲まれて泣いている子も、今はこの空気に飲まれて笑っている。
卒業式がメインというよりは、卒パがメインと感じ取ってしまう。
勇人「見回りしておいてなんだが、これからどーする?」
生徒会も、卒業式に騒ぎを起こすであろう杉並を捕獲するのに風紀委員会に協力してはいるが、別に祭りを発哺ってまで見回りする必要はない。
卒業生である以上、卒パを楽しむべきである。
勇人「ことりは確か、バンドやるんだっけ?」
ことり「はい。午後からですけど………」
勇人「それまで特に予定がないなら、屋台でも回らないか?」
ことり「はい!」
◆◆◆
ソース。ソース。チョコ。肉汁。ソース。油。ソース。
なんとも言えない祭りの匂いが、そこら中に立ち上っている。
ことり「なんか、お祭りの匂いってかんじですね♪」
勇人「そうだな。この喧騒と独特の匂いが祭りの醍醐味だ」
勇人とことりはひとまず一番手近にあるお好み焼き屋台に向かうことにした。
勇人「二枚くれ」
店番「はーい、1000円になります」
ことり「結構値が張りますね」
勇人「ま、祭りの屋台ってーのはそういうもんだ」
勇人は財布から1000円札を取り出し、店番に渡す。
ことり「あ、自分の分のお金払いますよ!?」
勇人「別に構わねぇよ。丁度1000円だし」
ことり「そういう問題っすか………?」
勇人の微妙に論点がずれた返答に苦笑しつつ、ことりはありがたく勇人に奢られることにした。
店番「マヨネーズはどうします?」
ことり「私は遠慮します」
勇人「俺の分は景気よくいってくれ、おもっくそブシュー!!っと」
店番「はーい」
ソースがマヨネーズによってまんべんなく白く覆われていき、もはやお好み焼きではなく白い何かになってしまった。
ことり「凄い量っすね」
勇人「ま、これがお好み焼き屋台の味だ」
◆◆◆
ことりとベンチに座ってお好み焼きを食していると、正面から見知った面が現れた。
杉並「おーう。流石は神爪、気が合うなぁ」
勇人「お前もお好み焼きか?」
杉並「屋台の華はやはりコレだろう! たこ焼きのような技術もいらんし、チョコバナナなんぞより遥かに一般受けする!!」
ことり「………天枷さんが聞いたら反論してきそうっすね」
勇人「ま、同感ではあるが………」
音夢「あ、神爪君」
純一「うぃーっす」
勇人「よ!」
にこやかに駆けてくる2人に手を振る。
杉並「Σげっ、まずい!!」
ことり「はい?」
言葉の意味を悟る前に、杉並が懐から黒いピンポン玉のような球体を取り出す。
杉並「さらばだ神爪生徒会長に白河嬢。俺は風になる」
―――――ボンッ!!!!
ことり「Σわっ!?」
勇人「………使う場所考えろよなぁ」
突然、視界が真っ白な煙に包まれる。
純一「Σなんだ!?」
音夢「Σあ、もぅ!!」
杉並「ふははははははははは!!!! さらばだ風見学園少年探偵団!!」
煙の密度は濃かったが、風が一吹きしただけで粗方消えた。
勇人「…………やれやれ」
高笑いを最後に杉並が消えている。
音夢「逃げられたか」
純一「相変わらず逃げ足は一流だな」
勇人「………で、なんかあったのか?」
音夢「いえ、杉並くんが騒ぎを起こす前に確保しておこうと思いまして」
純一「てゆーか、勇人。お前、杉並と一緒にいたんなら捕まえてくれよ」
勇人「んー。別にまだ何かしたわけでもねーから、ほっといて構わねぇかなぁと」
音夢「そんな悠長な………」
杉並がこういった行事で何か仕出かしそうなのは明らかだが、まだ何もしてないなら生徒会は動く気はない。
生徒会といっても勇人とことりの2人だけだが…………
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