MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第32話 契約
◆◆◆
-勇人 side-
勇人「――――やれやれ」
負傷した志貴をアルクェイドに任せて、志貴の家まで運んでもらう。
志貴の家は、本家である遠野家。初音島から橋を渡った先にある本島の三咲市にある。
勇人「………連絡くらいしといてやるか」
遠野の現当主である遠野秋葉に、久々に電話してやろうかとポケットにある携帯に手を伸ばすが………
勇人「と、その前に………」
その手を引っ込めて、志貴がネロを殺した地点へ移動する。
レン「……………?」
「何してるの?」と言っているような眼で勇人を見上げるレン。
勇人「ま、ちょっとな……。セバスチャン、レンと一緒に先に帰って夜食でも作ってくれ」
セバスチャン「………かしこまりました」
俺がこれから何するか検討がついているのか、セバスチャンは猫になったレンを連れて屋敷へと跳んで帰った。
さーて、と……………
勇人「………いい加減出歯亀は止めて出てきたらどうなんだ?」
――――――ガサッ
茂みが音を立て、その木々の奥から見知った女が出てきた。
勇人「久しいな。息災だったかエレイシア…………いや、シエル?」
シエル「………お陰様で」
現れたのは、シスターの格好をした美少女。
ま、年齢で言うなら絶対少女じゃねーけど……
シエル「今何かとても失礼な事考えませんでしたか?」
勇人「ハッハッハ〜。いやですねぇ、気のせいですよ」
シエル「まったく……」
和やかな雰囲気もそこそこに、キリリ…と真面目な顔になる。
勇人「アルクとお前が此処にいたから確信したぜ。奴がこの近くにいるんだろ?」
シエル「ええ………」
今世間を騒がせている、現代の吸血鬼。
そいつが今、この島ないし本島の近くにいる。
その吸血鬼の名は、ミハイル・ロア・バルダムヨォン。
通称、アカシャの蛇。
転生無限者。
勇人「一応聞いとくが……奴の目星はついてんのか?」
シエル「まだはっきりとは………幾つか候補はいますけど」
勇人「ふーん………ま、いいや」
シエル「“いいや”って………」
勇人「奴が何処にいるか分からねーのに焦ったってしゃーないだろ。俺はじっくり迅速に当てもなく確実に捜すさ」
シエル「これでもかっていうくらい矛盾してますよ……」
勇人「気にするな。ま、シエルがいるんなら丁度いい。ナルバレックに報告しといてくれるか?」
シエル「? ネロ・カオスが死んだ事でしたら言われるまでもなく報告しますけど………」
勇人「いや、違う。ネロの事だが、死んだ報告じゃあない」
シエル「…………?」
疑問符を顔に浮かばせるシエルを無視して、俺は地面に幾何学的な魔方陣を展開させる。
シエル「!?」
夜の暗い公園を、魔方陣の魔力光が明るく照らす。
そしてその魔方陣の中心に、黒い霧が収束し、1人の人の形を作り出した。
シエル「まさか………!?」
シエルは今何が起きているのか、俺が何をしているのかを推測し、止めようと黒鍵を取り出す。
勇人「だーいじょうぶだから、その物騒なもの仕舞いなさい」
シエル「そんなわけにはいきません!! 死徒を生き返らせようと――――」
勇人「―――いーから、黙って見てろ」
霧がドンドン収束していき、完全な人の形となる。
ネロ「………………む?」
俺は、ネロ・カオスを魔方陣の上に顕現させた。
ネロ「…………何故、私は生きている?」
確実に黄泉へと向かったネロが、その疑問を投げつけるのも当然であった。
ネロ自身、確実に自分が死んだという実感を持っていたのだから。
勇人「何、使える手駒は多い方がいい。ただそれだけの事だ」
ネロ「ほう? しかし、まさか死者蘇生とはな………魔神は他者の治癒等する才能は皆無と、人伝に聞いたことがあったが。これは何だ? 魂ごと消滅させられた私が生き返るなど………回復や蘇生のレベルではあるまい。空間回帰か? 時間回帰か?」
未知の現象に興味があるのか、ネロは少々饒舌に問いかけてくる。
勇人「…………事象の拒絶だ」
シエル&ネロ「「な…………」」
対象に起こったあらゆる事象を限定し、拒絶し、否定する。
何事も、起こる前の状態に帰すことの出来る能力。
それは『時間回帰』や『空間回帰』よりも更に上。
神級の能力……………
勇人「ま、俺の能力とかについては後でいい。俺はお前と契約を交わそうと生き返らせたんだ」
ネロ「ふむ…………まぁ、未知の現象を体感した代金だ。聞こう」
勇人「話しが早くて助かるよ―――――――」
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