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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第27話 烏哭と環の力





◆◆◆



-純一 side-





純一「………ッ…………」



晩飯が出前じゃなくて、外食にしたのが運の尽きだったか。



ファミレスで晩飯食って家に帰ろうと夜道を歩いていたら、俺と音夢の前にソレは現れた。







黒熊「………………」




何でこんな町中に熊が居るんだよッ!?




しかも夜で暗いとか関係なく、その熊は全身が異様に黒い。




まるで普通の熊じゃないような…………







純一(またホロウとか悪霊の類いじゃないだろうな………?)




俺の後ろに隠れている音夢も、怯えた様子で熊を見ていた。





純一「…………死んだフリして遣り過ごすか………?」



音夢「Σ熊に死んだフリなんてしたらエサと思って食べられちゃうよ!?」




え、マジで…………!?







黒熊「グオオォァァァァ!!!!!」





痺れを切らしたのか、黒熊はもうスピードでコッチに向かって爆進してくる。







純一「クソっ!!」




熊のスピードから俺達が逃げ切れる筈もない。


せめて音夢だけは守ろうと我が身を盾にし、無駄かもしれないが腕を盾にして眼を瞑った。






















「――――――滅べ」




ふと耳に、少女の声が届いた。



眼を開けて熊を見てみると、その胸に一本の細い矢が突き刺さっていた。



更に熊の胸板へ新たな矢が突き刺さった。




その声が聞こえた方へ視線を向けると…………







純一「環ッ!?」




俺達より少し後方へ離れた環が、弓を構えて立っていた。


更に細腕が矢をつがえ、強く弦を引き、続く矢が放たれた。



それは二本や三本ではなかった。


驟雨の如く、何十本と荒れ狂ったのだ。



腕と言わず、足と言わず、腹と言わず、胸と言わず………熊のありとあらゆる部位を、有り得ない数の矢が穿っていく。


あまりの数の矢に埋め尽くされ、刺された熊の姿の方が見えなくなるほどであった。






熊「グオオォォォォォ……………―――――――」




その断末魔を終わりとして、唐突に暗い熊の姿が消えた。


少し遅れて、無数の矢も最初に放った一本を残し、ことごとくが風と同化していった。





純一「幻の…………矢?」


環「『鳴弦』です。“魔”や“悪霊”の類いなれば、清らかな音にも穿たれましょう」




弓矢を持った胡ノ宮環は、ごく当然のように告げ、近寄ってきた。






環「朝倉様、大丈夫ですか?」



純一「あ、ああ………」




確かに助かったけど………




純一「…………つーか、何で環が此所に?」



さくら「――――それは僕が説明するよ」




いつの間にか、俺の直ぐ側にさくらが立っていた。



珍しく真剣な顔をして………





さくら「でもその前に………」



俺の後ろに眼をやって、少し困り顔になるさくら。




純一「? 何だよ………?」



さくら「いや、音夢ちゃんが………」




そう言えば…と、先程から一言も声を発していない音夢に眼を向けると………







音夢「きゅ〜…………」




眼を回して気絶していた。




純一「……………かったる」







◆◆◆




純一が襲われていた同時刻頃………。




-ことり side-




卒業式に向けてバンドの練習をしていた、私とみっくんとともちゃん。



学園から桜並木を歩き、その出入口付近で、私達は有り得ないモノと遭遇した。














黒虎「ガルルルル………」




何で虎がこんな所にいるんですか!?



しかも有り得ない位に黒い毛色ですし………






加奈子「ど、どうするの……」



智子「どうするって言われても………」





警察か何処かに電話した方がいいのでしょうか……。




と、そんな悠長な事を考えていたら………






黒虎「ガアアアァァァァ!!!!!!」






虎は凄まじいスピードで、私達の方へ駆けてきた。



虎の鋭い牙が私達を噛み殺そうと迫ってくる。






―――死、ぬ………………?





最悪の予想。





しかし…………








ことり「熱ッ!?」




スカートのポケットから、異常な熱が発せられている。



ポケットに手を入れて、熱を帯びているモノを取り出す。

















ソレは、勇人くんから以前渡された名刺だった。




その名刺が白く、淡い光が発光している。



そこに、また奇禍が生じた。




私の目の前に、幾何学的な紋様が描かれた円が現れる。


それは、授業で見た魔法陣のようなモノで、その円が激しく光を発している。



けど、それも一瞬。




虎が私達と接触しそうになる瞬間――――――















勇人「―――神皇流…竜昇斬!!」






◆◆◆




-勇人 side-





ことりに渡した名刺からネロの使い魔の魔力を察知し、名刺とのパス(糸)を通じて空間転移し使い魔を斬り上げる。

















「―――――疾ッ!!!!」



俺が虎を切り上げた後に、聞き覚えがある声が耳に聞こえ、何かが俺の顔横を通り過ぎていった。





烏哭「………………」



烏哭が手に符を並べて立っていた。



烏哭が虎へと投げたモノ…………符呪。



真紅の紙に、水銀より取り出されたる朱で、急急如律令(律令の如く速く)と書かれた通り―――陰陽道における、最も速い術。



泰山府君炎羅符呪。



符が、飛翔半ばで地獄の炎を喚起し、怒濤の如く虎を包み込んだ。



虎は、声を上げる間も無く火だるまになり、跡形もなく燃え尽きて消滅した。









烏哭「何や、俺が出る必要あらへんかったみたいやな………」



勇人「ま、一応礼を言っとくぜ」




ネロを陽動してたら、面倒な気配が桜公園の近くにいたからな………。



コイツらを近くに置いといたら、普通にネロに喰い殺されるな。



ことりは自分がまたコッチの事件に巻き込まれたという事を認識しているようだが、その隣にいる佐伯加奈子と森川智子は自分達の前で何が起きたのか、理解出来ずに呆然としている。







勇人「コイツら任せていいか?」



烏哭「………まぁ、引き受けたるわ。はよ行き」




烏哭に3人の相手を任せて、俺は桜公園へと駆ける。






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