MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第26話 死にやすい線と、死そのものの点……
◆◆◆
勇人「さーて、と。どーすっかなー……」
暗い夜道を走り続けて十分程。
アルクェイドと志貴とレンは一緒に行動し、俺とセバスチャンは別々に散っている。
ネロはアルクェイドを追っているから、アルクェイドが桜公園までネロを誘導してくれれば俺とセバスチャンが後続で戦闘に参加出来る。
レンをアルクェイドに付けたのは、桜公園の場所を教えるためである。
この島の地理を知ってるかどうか怪しいしな……。
セバスチャン「………勇人様」
勇人「わーってるよ。皆まで言うな」
後ろからチラホラと、ネロが放った使い魔と思しき漆黒の獣が追いかけて来ている。
勇人「まさか辺り構わず散らしてんじゃねーだろーな」
だとしたら相当面倒だぞ。
最近物騒だから夜に外出してる人がいなければ問題ないだろうが……
勇人「取り敢えずセバスチャン。アレ片付けてこい」
セバスチャン「やれやれ、相変わらず執事使いの荒い御主人様ですね」
セバスチャンは、追ってくる獣達を殲滅するべく、何処からか取り出した銀製のナイフとフォークを取り出して、獣達を切り刻んでいった。
◆◆◆
- 志貴 side -
全てから逃げてしまおうと思ったあの草原で
その人は当たり前のように僕の横に座った。
その人は友達のように僕と話してくれた。
その人は何でも教えてくれたし、何より一緒にいると楽しかった。
だから“先生”と呼んだその人を、ビックリさせたかった。
近くに立っていた木に視える黒いラクガキを果物ナイフでなぞり、木を簡単に切断した。
誰にも出来ない事をやってのけて、自慢したが……
初めて、それがいけない事だって知った。
壊れかけたココロを、元に戻してくれたんだ。
先生「―――いい? 志貴。その“線”をイタズラに切ってはダメよ。君の眼は“モノ”の命を軽くし過ぎてしまう」
「でも、それは君個人の力よ。君の未来にはその力が必要になるからこそ、その直死の眼があるとも言える」
「どうしても自分の手におえないと判断した時だけ眼鏡を外して、自分でよく考えて力を行使しなさい」
「志貴、聖人になれなんて言わない。君は君が正しいと思う大人になればいい」
「いけないっていう事を素直に受け止められて、ごめんなさいと言える君なら―――」
「―――10年後にはきっと、素敵な男の子になってるわ」
この力は―――――
自分が正しいと思える大人になれと
あの人に教えられたんだ
それが君を―――殺してしまった、俺の義務だと思うから
◆◆◆
志貴「―――で、どうするんだ?」
アルクェイド「そうね……」
志貴とアルクェイドは、レンの道案内によって桜公園まで走っている。
あんまり飛ばしすぎたらネロを桜公園まで誘導出来なくて意味がないから、アルクェイドは志貴に合わせてスピードを落として走っている。
アルクェイド「私がネロを引き付けるから、志貴はネロに致命的な一撃を与えてくれればいい」
志貴「………………そんな簡単に倒せる相手なのか?」
アルクェイド「実を言えば、こんな気軽に話せる相手じゃないわ。出来れば出会いたくない部類に入るくらいよ」
志貴「だったら―――」
アルクェイド「―――言ったでしょう、貴方に殺せないモノはないのよ。それはネロだろうと例外じゃない」
志貴「………………」
アルクェイド「あ でも………だとすると理屈が……」
少し考える素振りをし、アルクェイドは志貴を相手に問う。
アルクェイド「志貴、貴方“線”が視えるって言ってたけど“点”は視えてないの?」
志貴「………“点”?」
アルクェイド「私は視えてないから想像でしかないんだけど……モノの死にやすい“線”が視えているなら“死”自体が起点のようなモノとして視えているんじゃないのかなって……」
志貴は眼鏡を軽く外して、裸眼で自分の手に視える線を視たが、点は見当たらなかった。
志貴「…………それが視えると、どうなんだ?」
アルクェイド「“視えすぎる”のも問題があると思うけど、その“点”を突く事が出来るなら―――」
―――確実にネロを殺せるハズよ
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