MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第21話 勇人の日曜日 2
◆◆◆
《風見学園》
日曜の校内は至ってのどかだ。遠くの方から微かに運動部の掛け声が聞こえてくるのみ。
生徒会に入ったが、何処か部活にも入ろうかねぇ……。
てゆーか……
勇人「俺は何で日曜なのに此処へ来たんだ?」
杉並「俺に会いに来たのだろう?」
勇人「……………」
そんな声に振り返ると、不敵な笑みを浮かべた杉並が立っていた。
勇人「(……コイツ本当に気配が感じられんな)……何やってんだ? 学生服で」
杉並「フ…。人がいない方が、何かと動きやすくてな。そして、黒い服装は人目を忍びやすい」
勇人(………充分目立ってると思うが?)
杉並「では、俺はそろそろ任務に戻るとしよう」
杉並が、奇妙に膨れた鞄を手に、教員棟の方へと消えていく。
何が詰まってんだ、あの鞄。
まぁ、気にしたら敗けなんだろうな。杉並の事は忘れる事にして、俺も学園内を徘徊する。
勇人「…………?」
音楽室の扉の前で立ち止まる。
微かに人の気配がする。
眞子「違うってば! そうじゃなくて、こうッ!!」
勇人「……聞き覚えのある声だな」
ドアノブに手を伸ばし―――
◆◆◆
《音楽室》
勇人「……………」
中には眞子と萌……水越姉妹がいた。
音楽部の練習……にしては、他に誰もいねぇみたいだな。
眞子はフルート、萌は木琴を楽しげに鳴らしている。
2人とも眼を閉じて、自分の音楽の世界に浸っている感じだ。
流石は姉妹、息ピッタリ。
まぁ…眞子のフルートはともかくとして、萌の木琴の音色は…………
勇人(…………微妙)
上手下手は別にして、音色からは2人の楽しげな空気が感じられた。
勇人(………………あ゙?)
ノリノリになった萌の木琴の音がブッ飛んだ。
すげぇ外し方。
眞子「ちょっとお姉ちゃん! また音が外れてる!!」
萌「………………え?」
眞子「“え?”じゃなくて、またズレてるの」
萌「ごめんなさ〜い……」
勇人「ま、いいんじゃねーの? 楽しんでりゃあ。別に大会に出るみたいな訳でもねーんだし」
眞子「Σえっ」
ようやく俺の存在に気づいたのか。眞子と萌が此方を向く。
眞子「神爪……アンタいつの間に………」
勇人「いつの間にか」
眞子「……………」
萌「あ、こんにちは〜神爪く〜ん」
勇人「よう」
萌に挨拶しつつ、殺気を放っている眞子との距離を保つ。
勇人「お前らだけで何してんだ? 練習?」
萌「はい〜、楽器の練習です〜」
眞子「4月の入学式の時に演奏する曲の練習してるの」
勇人「へぇ、眞子も何かやるのか?」
眞子「新入生の私が吹いてどうするのよ。お姉ちゃんの練習を見てんの!」
勇人「………萌がやるのか?」
萌「はい〜」
勇人「………大丈夫なのか?」
眞子「まぁ…後1ヶ月ちょいあるし」
勇人「大丈夫とは言わねぇんだな。ま…萌、頑張れよ」
萌「はい、ありがとうございます〜。当日は、真心を込めて歓迎しますね〜」
勇人「おう」
俺は防音加工の扉を開け、廊下に出る。
…………防音加工してあるのに、よく眞子の声が外に漏れたな。
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