[携帯モード] [URL送信]

MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第17話 巻き込まれた者





◆◆◆



《食堂》


ことりと共に食堂へとやって来たのだが……


勇人「人がゴミのようだ」

ことり「昼休みの食堂は直ぐに一杯になりますからね。早い者勝ちになるんですよ」


中高一貫の学校の割にはそこまで広い食堂というわけではないな。
普通の食堂だ。


勇人「……仕方ない、誰かと席一緒するか」


見知らぬ誰かと座れば、まぁ席に空きがない訳じゃないからな。


「おーい、神爪! ことり!」


ふと声が聞こえ、声の主に視線を向けると、朝倉純一と杉並と工藤叶の3人が席に座っている。
純一が呼んだのか、人混みの中でも分かるように手を振っている。
………席も空いてるみたいだし、相席という解釈でいいのか?


勇人「ことり。純一達のとこに先行っといてくれ。俺は飯買ってくっから」

ことり「了解っす」



◆◆◆


買った飯を持って、純一達と相席する。


勇人「すまねぇな、席に入れてもらって」

純一「気にすんなって」

杉並「うむ」

叶「ああ」


男子3人(内1人少女)の厚意に甘え、俺とことりも一緒に昼食を採ることになった。
因みにことりは可愛らしい弁当で、朝倉純一は狐うどん、杉並はAランチ、工藤叶はBランチで、俺はというと……


叶「なんというか……神爪ってよく食うんだな」


俺は変わった定食のようなものを頼んできた。先ずは主食である白米に代わって牛丼(大盛り生卵入り)、味噌汁に代わって豚骨ラーメン(麺硬めメンマと葱と叉焼とモヤシ大盛り半熟卵入り)、主菜としてチーズ乗せハンバーグと若鳥のチキン(目玉焼き付き)、野菜はシーフードサラダ(大盛り)、飲み物は水に代わって牛乳(1.5gパック)で、更にはオムライス、カレーライス、唐揚げ、焼き飯等々が並べられている。


杉並「凄まじい量だな……」

純一「こんなに食えんのか?」

勇人「時間に余裕があんなら大体いつもこんな感じだぜ?」

ことり「マジッスか……」

勇人「じゃ、いただきまーす」


俺は早速飯を頬張る。まぁ、味は普通だな。値段通りというかなんというか……。


純一「あぁそうだ、神爪。後で話があるんだが…時間いいか?」

勇人「ああ、構わねぇよ――――ゴックン!!――……ご馳走さーん」


山のようにあった食べ物は既にテーブルから消え失せていた。


4人共「「Σ早ッ!?」」

勇人「じゃ、先に食器下げるぜ」


俺は食器の山を返却口に返しにいった。


……………

………





純一「……アイツが飯食ってる姿みたか?」

ことり「物凄い勢いで食べてましたね……」

叶「あれは食べてたというか、『飲んでいた』って感じだけどな」

杉並「明らかにアイツの体積以上はあったはずの食料は、一体あの身体の何処に消えたのだろうな」



◆◆◆


《屋上》


そして放課後……


勇人「――で、何だよ話って?」

純一「あー……その、何だ…」


純一は何やら困った顔をしながら、人差し指で頬をポリポリと掻いている。

………え、まさか。


勇人「純一よ、悪いが俺はホモじゃねぇ。男の告白なんざ受け付けねーぜ」

純一「Σいや何の話だ!?」

勇人「………違うのか?」

純一「当たり前だ!!」

勇人「そうかそうか、お前が健全な女好きの男子でよかったよ。………ん? 義理の妹好きは健全なのか?」

純一「………待て、何で知ってる?」

勇人「フッ。その程度、俺のセンサーを持ってすれば雑作もない」

純一「どんなセンサーだよ」

勇人「ま、話の腰を折るのはこの辺にして早く用件を言え」

純一「Σ自分から折っといて!?」


純一は何か疲れた顔をしたが、気を取り直して語り始める。


純一「実は、昨日の夜のことなんだが……―――」


◆◆◆


純一 side


それは昨日の深夜。
何か寝つきが悪くて、夜道を少し散歩していた時だった。


純一「―――クソッ! 何なんだよ一体!?」


散歩のつもりが俺は夜道を全力で爆走していた。
何故かと言えば……


虚「グオオォォォォォ!!」


突然現れた、何か白い化け物が襲いかかってきたからだ。
その得体の知れない化け物と延々と追いかけっこしていると…


「ほっほっほっ。居るわ居るわ、巻き込まれた者が」

純一「え………」


―――ドゴオオォォォォン!!!!


虚「グオオァァァァァ……」


俺を追いかけてきた白い化け物は、爆炎に焼かれて灰となって消滅した。
俺は、俺を助けてくれた人物に視線を向ける。


純一「町内会長!?」

草十郎「ほっほっほっ。元気そうじゃな純一」


婆ちゃんと茶飲み仲間で、俺も小さい時から何かと面倒を見てくれた町内会長の姿がそこに在った。


◆◆◆


勇人 side


純一「―――で、何がどうなってんのか聞こうとしたら『面倒じゃから勇人に聞いとくれ』って言われたんだが……」

勇人「あのクソジジイが」


しかし、ことりと同じ目に遭ってる奴がいたとはな。


勇人「……面倒だから一度しか言わんぞ、耳の穴ドリルでブチ抜いてよく聞け」

純一(ブチ抜いたら聞こえねーだろ)

勇人「五月蝿い黙れ殺すぞ」

純一「Σ聞こえてた!?」


とりあえず俺は、昨夜ことりにしたのと同じ説明をすることにした。


勇人「――…ま、ということだ」

純一「………………」


さすがに信じられないのか、突拍子もない話だからか、純一は何とも言えない表情をしていた。


純一「……その“淀み”ってのは、桜の樹が……婆ちゃんが起こした物なのか?」

勇人「………何だと?」


聞けば朝倉純一は、芳野の孫らしい。和菓子を生み出したり、他人の夢を観せられる魔法が使えるという。
ことりみたいに桜から魔法を与えられたのではなく、生まれつき魔法使いとして素養があったからホロウに襲われたのか。


勇人「ふむ………」


他人の夢を観せられる…ということは“夢の世界”を観ることも可能だろうから、この間アイツと夢の世界で会った所を観ていた気配はコイツか。


勇人「ま、俺も何時でも何処でも助けに参上ってわけにはいかねーからな」


自衛のやり方位は教えとくか。


勇人「ことりー、隠れて盗み聞きしてないで出てきやがれよ」

純一「え」


―――ギギィ…


と、鉄の扉が開く音が聞こえた。


ことり「アハハ……」

純一「Σ白河!?」


焦ってるような苦笑をしながら、ことりは出てきた。


勇人「さて、話は聞いてたな?」

ことり「あ、はい。一応……」


じゃあことりに純一の事の説明は不要だな。


勇人「お前らこれから家に来い。とりあえず自衛は出来るようにしてやる」





[*前へ][次へ#]

4/11ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!