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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第15話 震える夜





勇人「―――震えろ! 畏れと共に跪け!!」


―――――ズバァッ!!!!!!


斬魄刀で、少女を襲っていたホロウの頭を一撃で叩っ切る。


勇人「判決……死刑!!」


ホロウは断末魔の悲鳴を上げて消滅し、あの世へと昇っていった。


勇人「……魂送完了ってか」


淀みによって具現化したとはいえ、大したレベルではなかったか。


レン「…………」


―――――チリン。

レンが俺の着ているコートの懐から出てきて地面に降り立ち、その顔を俺の後ろにいる少女へと向けた。
俺も、ホロウに襲われていた少女の顔を見る。
……………溜め息が出た。


勇人「………何つーか、お前ェはつくづく誰かに絡まれてんのね」

ことり「……………」


ホロウに襲われていた少女とは、この島に来て一番親しくなったであろう、クラスメイトであり俺ん家の正面に住んでいる白河ことりであった。


ことり「……あの………勇人、くん?」


その表情と声は、自分は何に襲われていたのかの戸惑いと、化け物を消滅させた見知った者への驚愕が出ていた。


勇人「……………」


さて、どーしましょうかねぇ。



◆◆◆


………で、結局説明することにした。


ことり「…え、と……ちょっと……待ってください」

勇人「何だ、信じられない? 話が突飛すぎる?」

ことり「あ、当たり前です! 淀みとかホロウとか…? 確かに昔と違って人界にも魔法とかが文化や科学にもなってきましたけど、そんなの言われても……」

勇人「……ま、確かに神界や魔界と違って人界にはあんな怪物のようなもの、普通は存在していても認知出来ないからな」


理解出来ないのも無理はない。


勇人「だが、さっきお前が襲われた胸に孔のある化け物…あれがホロウ。普通は見えない筈のお前がホロウを見る事が出来たのは、枯れない桜の淀みによるもの。そして――――」


一旦言葉を切り、続きを口にする。


勇人「――ホロウがお前を狙ったのは、お前が枯れない桜の樹の魔法で読心の魔法を得ていたからだ」

ことり「――――――!?」


俺の言葉に驚愕してることりを無視して、俺は話を進める。


勇人「ホロウは霊力……つまり魔力が高いものを喰らう。今回の場合は枯れない桜から流れて、ことりの身に宿っている魔力を喰らおうとして…だな」

ことり「……何で、私が人の心を読めるって………」

勇人「人界の魔術師なら、読心術かはどうかはともかく、ことりが何らかの能力を持っているってことぐらいは分かる。ま、俺以外にも気づいてる異能者は何人かいると思うが……」

ことり「……………」

勇人「ま、別に気にする必要は一切ない。訳のわからん出来事に巻き込まれはしたが、別に病にかかった訳じゃねぇ。ただ目の前に扉が現れただけにすぎん」


俺が今説明したが、別に原因を知る必要もなければ、今回起きた不幸を嘆く必要もない。
自分の目の前に現れた扉を、開くも放置するも自分しだい。


勇人「扉を開いたその先に、足を踏み入れるかどうかもな」

ことり「それってどういう……」

勇人「簡潔に言うと、このまま家に帰ってさっき起きた出来事を忘れていつも通りの日常に戻るか。これから新しい日常に踏み込むか……」


俺は胸ポケットに入れてあるケースから、一枚の名刺を取り出しことりに手渡す。


勇人「ま、自分のその能力や新しい日常に興味があるなら…訪ねてくるといい」


水晶の透かしが入った可憐な紙片には、セピア色の文字でこう書かれていた。

《悠久の絆‐エターニア‐》

ギルドマスター 神爪 勇人


勇人「――いつでも歓迎するぜ」






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