MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第347話 兄と妹
◆◆◆
《浦原商店‐居間‐》
純一「………はぁ」
目覚めた純一の気分は重い。
気絶させられてからどうなったのかは、一緒に気絶させられていた棗恭介から説明を受けた。
だから芳乃さくらも誘拐されたことも知っている。
それについて今後どうするかは勇人達が現在相談中とのことで、今はゆっくり休めと言われて、純一はその言葉に甘えることにする。
昨日の夜、敵によって気絶させられて一夜が明けた。
つまり、今は二人で住んでいる妹にはなんの連絡も入れないまま1日無断外泊してしまったということで。
純一「音夢になんて言うかな………」
上手い言い訳が浮かんでこない。
そもそも頭の出来はそれほど良くはなく、早々良策など浮かんでは来ないのだ。
それでも無駄な抵抗は試みてみる心算だが。
純一「宇宙人に連れ去られてキャトルミューティレーションされちまったぜ、テヘペロ♪………駄目だな、言った瞬間殺される」
何てアホなことを考えながら、純一は居間の襖を開けた。
喉を潤すため、キッチンで水でも飲もうと思ったのだが、誰もいない。
勝手に飲んでしまっても良いのだろうか?
純一「………別にいいよな、水くらい」
誰に言うわけでなく、自分に言い聞かせるように、純一は流しの横においてあるガラスのコップに手を伸ばそうとするが、
「はい、どうぞ」
突如、水の入ったコップを後ろから差し出されて、伸ばした手の動きを止めた。
純一「あ、ああ、どうも―――――」
―――すいません、と言おうとした純一の息が止まった。
純一の視線は、コップを差し出した主に注がれている。
だが、有り得ない。
何故彼女がここにいる?
純一「な……ぁ…………?」
音夢「何ですか兄さん、鳩が豆鉄砲食らったような顔をして」
妹の、朝倉音夢がそこにいた。
純一「何で音夢が此処にいるんだ!?」
音夢「……私がここにいてはいけないんですか?」
周りに純一以外の人がいないとはいえ、今の音夢は裏モード。
他所様用だ。
優等生然とした態度だが、長い付き合いの兄である自分には分かる。
今笑顔を浮かべているこの妹の目が、全く笑っていないということを。
音夢「兄さん」
純一「………にゃ、何だ?」
思わず噛んでしまった。
だが音夢はそんな緊張状態にある兄などお構い無く、
音夢「昨日のこと、ちゃんと説明してくれますよね?」
私、怒ってます。
というオーラをヒシヒシと飛ばしながら凄む音夢に、純一はヒキ吊った笑みを浮かべながら頷くしかなかった。
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