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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第345話 急ぎの帰還





◆◆◆


一先ず解散ということになり、勇人達は各々別れた。
取り敢えず、8月20日までは大丈夫。
………などと楽観視は出来ないが、それでも現状打つ手が無い以上、一旦各々に考えを纏めることにしたのだ。
尸魂界への潜入方法などは浦原喜助に任せるとして、勇人達が揃えなければならないのは、少数精鋭の戦力。
それをどう用意するか、地球、時空管理局、神界・魔界と別れて考えるのだ。
そしてまた、集まって議論する。
今月末にまた集まるため、それまでにある程度は考えは纏めておかなければならない。


勇人「………取り敢えず、片っ端から知り合いを当たってみるか」


情けない限りだが、今浮かぶ考えはそれだけで、勇人は携帯電話を取り出して知り合いを当たり始める。



◆◆◆


《初音島‐大橋‐》


走る。走る。
初音島と本島を結ぶ大橋を、全力疾走で走る男が一人いた。
そのスピードは容易に車を追い抜き、瞬く間に本島から初音島へと近づいていく。


悠希「…………くそっ」


その男、神城悠希は小さく悪態を吐きながら、猛スピードで橋を疾走していた。
WPと対談をしている総理の護衛として、本島へ仕事に出ていた彼だったが、今は大層焦った様子で自宅へ駆けている。
それは時を少し遡り、数時間前。
悠希の携帯電話に電話が掛かってきた。
着信によるディスプレイには、芙蓉家と表示されていた。
丁度休憩の時間帯で、悠希はその電話に出る。
彼が暮らしている芙蓉家から電話を掛けてくる人物など、同居している土見稟か芙蓉楓くらいで、そのどちらかが電話を掛けてきたのだと思った。
そしてそれは予想通り。
電話の主は楓だった。
だが、その声色は予想外だった。

…………その声は、泣き声だった。

一瞬、なにが起きたのか珍しくパニクった悠希だったが、直ぐに何があったのかを楓に問い質したが、楓はグズるだけで何を言っているのか要領を得ない。
何か余程の事が起きたのは確かなのだが。
そして、電話の相手が代わる。
今度は稟だった。
楓と比べれば落ち着いていたが、それでも付き合いの長い悠希は、稟の異変に気づく。
稟は、酷く沈んでいた。
それは声を聴けば分かった。
そして何故、稟の声が沈み、楓が泣いていたのかも、稟の口から語られた言葉で理解した。


稟「…プリムラが…浚われたんだ……」


事情を聴いた悠希は直ぐにでも島へ戻ろうとしたが、今自分は総理の護衛としてここへ来ており、無断で脱け出すことなど出来る立場ではなかった。
幸いにも、隊長が融通を効かせてくれたために時間は掛からなかったが、それでも今悠希がいる東京から初音島までを呑気に車で走る気はなかった。
だから悠希は走ることにした。
足の速さには自信があったし、実際車で帰るよりこっちの方が速い。
だから彼は今、全力で橋を駆けているのだ。


◆◆◆


《初音島‐芙蓉家‐》


悠希「楓! 稟!!」


バタン!と荒々しく玄関の扉を開けて、悠希は帰ってきた。
慌ただしく中に入った彼を迎えたのは。


稟「……悠希」


稟だった。
その顔を見た瞬間、悠希は息が詰まった。
稟のその顔はどこか窶れており、眼は真っ赤になっていた。
泣いていたのだろう。
だが、悠希は稟が泣いているところなど滅多に見たことがなかった。
今回起きたことは、それほどのことなのだ。


悠希「楓は?」

稟「寝てるよ。泣き疲れたんだろう」


リビングへと足を踏み込む。
そこにあるソファーには、楓が眠っていた。
稟の言っていた通りで、その目元には泣いた跡があった。


悠希「プリムラが浚われたのは聴いたが…何があった? 詳しく話せ!」

稟「…………ああ」


電話ではプリムラが誘拐されたことしか話してなく、稟は昨晩の事を詳しく話した。


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あきゅろす。
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