MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第343話 近況報告
◆◆◆
《浦原商店‐居間‐》
部屋の中央にある1つの卓袱台。
それを囲むように、各々の代表が座っている。
この浦原商店の店長、浦原 喜助。
神界の王、ユーストマ。
魔界の王、フォーベシイ。
時空管理局の若き提督、クロノ・ハラオウン。
鳳凰学園教頭、鳩摩羅 重吾。
そして、神爪 勇人。
この六人が今、この狭い居間に集まり、畳の上に座っている。
本当なら黒崎一護やリトルバスターズ、八神はやて達等も呼びたいところであったが、さすがにここに呼ぶには部屋が狭く、怪我人もいて移動も困難といった理由で、勇人がいるこの店に集まったのだ。
勇人「話に入る前に聴いときたいんだが、お前らんとこの状況はどうなってんだ?」
フォーベシイ「…………よろしくないね」
勇人の言葉に答えたのはフォーベシイだったが、他の皆も同なのか、非常に疲れた顔をしている。
フォーベシイ「プリムラが誘拐されて、魔界は大騒ぎさ」
ユーストマ「神界も同じだ。研究員が今にも暴動を起こしそうだからな、直ぐにでも捜索隊を編成して捜し出させなきゃならねーんだが………」
フォーベシイ「……居場所が分からないからね。捜索は難航してるのさ」
この二人はともかく、神界・魔界の研究者達にとって、プリムラは奇跡的に生み出された人工生命体の成功作。
二度と替えの効かない素体ということもあって、その存在は重要視されている。
だが、そんなことは勇人には割りとどうでもよくて。
勇人「稟と楓はどうしてる?」
ユーストマ「……幸い、凍らされただけだったからな。治療も終えて、今は自宅にいるはずだ」
フォーベシイ「自分達の目の前で誘拐されたわけだからね。酷く落ち込んでいたよ」
勇人「………そうか」
次に、クロノ・ハラオウンへ視線を向けた。
勇人「管理局は?」
クロノ「こっちも同じさ………」
一睡もしてないのか、その目元には隈が出来ていた。
心なしか、少し窶れている。
クロノ「管理局の中でも特に優秀な二人が一度に、敵に捕らわれたからな。どこの部署も騒然としてるよ。特に、なのはが所属している武装隊は」
二人は若くして管理局の二大エースと称される実力のある魔導師だ。
そんな二人が賊の手に落ちた。
騒然とするのも仕方がない。
今や二人は、管理局にとってはなくてはならない存在で、その影響力は大きなものになっているのだから。
クロノ「特に上層部が荒れてる。まさか管理外の世界の犯罪者に敗北するなんて、全く考えてなかっただろうから」
勇人「………地球をナメすぎなんだよ」
嘆息しつつ、勇人が次に目を向けるは、鳳凰学園の教頭、鳩摩羅重吾。
何故この場にいるのかといえば、今現在学園長の座に就いている芳乃さくらが不在のため、彼が学園長の代理を行っているのだ。
学園の事を任せている以上、話はしておくべきだろう。
勇人「学園の状況は?」
重吾「表向きには、出張ということになっている。事情を知るのは、魔法関係者のみだ」
勇人「近隣っつーか、他に被害は出てなかったか?」
重吾「そちらは問題無い。君が事態に向かったのを察知した魔法教師が、先んじて島の住民の警備に当たったからな」
島で事件が起きたにも関わらず、一人として学園の魔法教師が関わってこなかったのはこのためだ。
神爪勇人が既に向かったのなら、近隣に被害が及ばないように、学園に勤務している魔法教師が警備に向かう。
彼等の優先順位の上にいるのは学園に通っている生徒なのだから、対応としては間違ってはいないが、今回はそのせいで生徒が二人誘拐されてしまった。
彼等の中の誰で神爪勇人という存在と名を知っているものは、まさか勇人が賊にやられるなどとは思ってもいなかったのが原因だ。
油断していたのだ。
喜助「さてさて、近況報告はそのくらいにして、今後どうすのかを話しましょ」
喜助の一言で、皆は意識を切り替える。
フォーベシイ「………ところで今更なんだけど、彼は?」
フォーベシイが喜助を見て言った。
その言葉にはユーストマも頷く。
そして、クロノも。
浦原喜助のことを知らないのはこの三人だけで、勇人は当然として、鳩摩羅重吾も浦原喜助を知っていた。
勇人「そうだな、紹介しよう。どうせ、あいつらが誘拐された場所のことも話しとかなきゃだしな」
クロノ「!? フェイト達を誘拐した奴がどこにいるのか分かったのか!?」
時空管理局、神界・魔界の各勢力が挙って捜しても全く行方が分からなかったというのに、この男は既に居所を掴んでいるのだ。
驚いた、が、それほどでもなかった。
彼らにとって、この神爪勇人という男を知っている身としては、何をしでかしても今更だ。
勇人「ま、その辺も説明すっから」
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