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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第304話 神爪勇人VS遠坂凛・アーチャー




◆◆◆


《鳳凰学園‐廊下‐》


理事長室から去っていくレオナルドを見送り、勇人は学園長室にいる鷺ノ宮紗綾に報告した。
特に問題はなかったから別にいいのだが、理事長室で話した内容なら別に、態々学園まで勇人を訪ねに来る必要はない。
ということは、他にもなにか目的があるはずなのだが………


勇人「……………」


こちらと事を構える気がないとは言っていたが、嫌な予感が警報を鳴らしていた。
気のせいだろうと信じたいが、全く拭い去ってくれる気配がない。
単に本能的なものだが、これまで数々の戦いを切り抜けた自身の直感。
それが、今後起きるであろう"何か"を察知していた。


勇人「…………めんどくせーなぁ」


ま、何にせよ今更気にしてもしかたない。
少なくとも、もうこの学園に用は無いらしい。
現にレオナルドの気配は既に学園の外へと動いていった。


勇人「………俺も帰るか」


ララも待たせてるし。
家へ帰るため、学園の外に出ようと廊下を歩き、中庭を抜けようと校舎の外に一歩足を踏み出した。



◆◆◆


《鳳凰学園‐中庭‐》


勇人「―――――!」


瞬間、反射的に跳躍し身体を前へと跳ばす。
さっきまで自分が立っていた場所のコンクリートに、何かがぶつかり焦げ跡を残す。
何が起きたのか一瞬判断が遅れたが、それが魔術によるものだと直ぐに理解した。
そして、追撃の弾丸が放たれる。


勇人「チッ!」


横に跳び、回避する。
またコンクリートに焦げ跡を残した魔術は、おそらくガンド。
呪いを撃ちだす魔術だ。
呪いといってもそれほど強力なものではなく、精々風邪をひいたりする程度だ。
これを受ければ体調を崩してしまう……はず。

………………いや。

もしかしなくても、このコンクリートを焦がすほどの一撃なら、肉体的ダメージをも負わせられるだろう。
さらなる追撃を与えるべく、呪いの雨が降り注ぐ。
だが、今度はさっきよりも少しだけ速度が遅い。
いや、流石に同じ攻撃を何度もしているのだ。
必然と勇人の目が慣れる。
これなら避けるのは容易いが、


勇人「!?」


突然現れた気配に反応し、そちらへ視線を向ける。
その瞬間には、視界に白い何かが写っていた。
とっさにそれを手で横殴りして弾く。
そして、その白いそれを繰り出していた赤い男を蹴り飛ばした。


「くっ!?」


突風のように後ろに下がる赤いソレの姿を、ようやく捉えた。
赤い外套を着た、浅黒い肌をした男だ。
手には白と黒の対象的な剣が握られている。
先程勇人が殴ったのは、あの白い剣のようだ。
その男は、この学園において明らかな異質。
ソレはこの世界に存在するはずのない存在。


勇人「英霊‐サーヴァント‐か」


口には出さないが、内心舌打ちをする勇人。
聖杯戦争が既に始まってるとはいえ、幾らなんでも突然過ぎた。
ただでさえ宇宙人やらマフィアやらと濃い面子が今日の内に現れたというのに、挙げ句の果てがサーヴァントである。
自分の巻き込まれ体質に本気で嫌気が差す。


「アーチャー! 現界することなんて許可してないわよ!!」

アーチャー「ふむ。主人の危機と思ったのだが、そうではなかったのかな?」

「どこがよ。今の彼如きに、この私がやられるとでも思ってるの?」

アーチャー「油断は禁物だが……まぁ、言っても聞かんか」


声の主はここよりも上、校舎の屋上にいた。
主の命令により消えたサーヴァント同様の、その赤いコートを着た女。

魔術師………遠坂 凛が、そこから勇人を狙っている。
向ける指先には、これで決めると言わんばかりに密度の高い魔力が集束していた。


凛「その様子だと、弱体化してるって話は本当みたいね。悪いけど、ここで脱落してくれないかしら?」

銃口とも言うべき指先を向けながらそう言う。
勇人ならアレを受けても死ぬ事はないだろうが、絶対に何かしらの障害が出る。
そんな凛に、勇人はやれやれと溜め息を吐きながら、


勇人「……前回の聖杯戦争とは違い、戦いは夜だけじゃないらしいな。ま、どうでもいいが」


懐から一枚の札を取り出す。
転移魔法符。
ある程度の空間を跳躍する、空間移動の魔法符だ。


勇人「The Endだ」


その声が凛の耳に届いた時には、呪いの矛先には誰もいなかった。
当たり前だ。
その声は自分の後ろから聞こえたのだから。


凛「………どうやって」

勇人「転移魔法符っつってなぁ。魔法界にある札なんだが、その名の通り空間移動の魔法が使える札だ」


一回切りの使い捨てなのが欠点だ。
これ一枚でウン十万という値段なのだ。


勇人「つーかいきなりだなおい、俺はやる気はねーんだ。攻撃しねぇから、お前も俺を攻撃すんな。せめて俺の話を聞いてから攻撃してくれるか? その上での喧嘩なら買ってやるからよぉ」

凛「話? 何を話すって言うのかしら。私たちは敵同士。そして聖杯戦争はもう始っている。話す事なんて何もないはずだけど?」

勇人「悪いが、俺は聖杯には興味ねーよ。キャスターには悪いがな」

凛「…………それ、どういう意味よ?」

勇人「言葉通りの意味だ。生憎、何かに願ったりする気は更々ねーんだよ俺は、お前ら魔術師と違って」

凛「…………………」


その何か見下された上から目線な言葉に、凛の限りなく短い堪忍袋の緒が切れた。
フルフルと肩を震わせ、口の端を歪めた不気味な笑みを浮かべ、


凛「………いいわ。話を聞こうじゃないの。その後でこの怒りをぶつけてやるわ」


会話を許可する。
その言葉を聞き、今の今まで後頭部に突きつけていた手刀を下ろす。


勇人「厄日だな今日は………」


誰に言っても仕方がないのだろうが、それでもそう愚痴らずにはいられなかった勇人であった。


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