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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第303話 闇の商人



◆◆◆


《鳳凰学園‐理事長室‐》


紗綾「ここですわ」


そう言って紹介された場所には、確かに理事長室と書いてあった。
この中に、呼びだした人物がいる。
特に敵意や悪意は感じないが、警戒心はしておいた方がいい。


紗綾「それでは、わたくしは学園長室にいますので、お話が終わりましたら声を掛けて下さい」

勇人「おう」


去っていく紗綾を見送り、改めて理事長室の扉に向かい合う。
中から気配が感じられる人数は一人。
ガチャリ、と音を立てて扉を開いた。
室内に入る。
そこにいたのは、ソファーに足を組んで座っている一人の男。
黒スーツの下に、派手な柄が描かれたシャツ。
金色の短髪に、地味に高そうな値段のサングラス。
見るからに、かたぎの男ではないその顔を見ただけで、そいつが誰かを理解した。


勇人「まさかこんな極東の島国に、お前のような奴がやって来るとはな。レオナルド・ヴァレンティノ」


その男の名は、レオナルド・ヴァレンティノ。
裏社会では知らぬ者のいない大物である。


勇人「それともジョーカーと呼んだ方がいいか? 九天魔人の一角にして、ヴァレンティノファミリーのボスさんよ」

レオナルド「フッフッフッ……あんまりその名で俺を呼ぶもんじゃねーぜ、魔神。久しぶりだなぁ、神爪勇人」


ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら、レオナルドは再会を懐かしむ。


勇人「で? 闇の商人のお偉いさんの要件を聞かせて貰おうか、さっさと。そして即帰れ」

レオナルド「フッフッ……随分と嫌われてるな。俺が何かしたか?」

勇人「何かしたか、だと? 俺が何も知らねぇとでも思ってんのか?」

レオナルド「何のことだ?」


あくまで惚けるか。


勇人「……WLAにAMFを売ったのはお前だろ? それだけじゃない。調べてみれば、反神魔連合や、他のテロ組織なんかにも色々売り捌いてるみてぇじゃねぇか」


ゴールデンウィークに無人島で現れたWLAが使ったAMF‐アンチ・マギリング・フィールド‐という、魔法を無力化させる装置。
あんなものを、この管理局の管理外世界である地球のテロ組織が造り上げたとは思えん。
何処かから流れてきたと考えるのが自然である。


勇人「お前と戦うのは面倒だが……これ以上俺と関わりあるとこで面倒なことするんなら、この場で殺すぞ」

レオナルド「まぁそう怒るなよ、こっちも商売なんだからよぉ。詫びってわけじゃねーが、今日はお前にビジネスの話を持ってきたんだよ」

勇人「……何?」


急な話に眉を寄せ、怪訝な顔をする勇人。
そんな勇人に、レオナルドは応接用のテーブルに乗せたアタッシュケースを開く。
中にはギッシリと札束が詰め込まれていた。


勇人「……何が聞きたい?」

レオナルド「フッフッフッ……流石に話が早い」

勇人「すでに遅いわ戯け。こんなモノを見せる前に、とっとと用件を言え」

レオナルド「手厳しいねぇ……俺が売って欲しいのは、お前の持つ異世界の情報だ」

勇人「……それを知ってどうする?」

レオナルド「おっと、詮索は止しといた方がいい……俺も極力お前とやり合うのは御免被るからなぁ」

勇人「……………」


この男が何を目的としているかは不明だが、ろくでもない事だけは確かだ。
かといって、勇人とやり合う気がないと言っている以上、少なくとも直接勇人に害を及ぼすようなことはしないだろう。
そうでなければ、こんな極力の島にまでやって来て、態々喧嘩を売りに来るほど暇ではあるまい。


勇人「………条件がある」


勇人のその言葉に、レオナルドはニヤッと笑う。
そう答えるのを予見していたようだ。


勇人「お前がテロ組織に売った商品と、そのテロ組織の人員の知りうる限りの情報を教えてもらおう」

レオナルド「俺が売った商品の情報は解るが……テロ組織の人員の情報を態々俺から聞き出すか? 余程、自分の周りにいる奴等が大事なんだな………?」

勇人「詮索は止しといた方がいいんじゃなかったのか?」

レオナルド「フッフッフッ……そうだったな。いいぜ、取引成立だ」


言って、レオナルドは手を差し出してきた。
多少不服ながらも、勇人も手を出して、その手を握る。
正直なところ、この男をあまり相手にしたくはないが、裏社会にコイツの顔が効いてないところを探すのが難しいほどに、この男は裏に通じている。
やり合う理由がない内は、仕事相手くらいの関係でいた方が何かと便利だ。


勇人(ま、油断は出来ないがな……)


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