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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第296話 6月の騒がしい始まり



イメージOP
『アスタリスク』



◆◆◆


《鳳凰学園‐中庭‐》


六月に入り、そろそろ梅雨時になるんじゃないかという今日この頃昼休み。
中庭に設置されているベンチに座り、昼食を友達と食べていた白河ことりは、


智子「そういえば、ことり勇人くんとキスの1つくらいした?」

ことり「ぶふぅっ!?」


――――思わず食べていた弁当を吹き出した。


ことり「な、何急に………?」


ケホケホと、気管に詰まった物を飲み込みながら、智子に向かって聞き返す。
ちなみに、ことりが吹き出したものが顔にかかった加奈子は、ハンカチで顔を拭いていた。


智子「いや、もう告白くらいしたかなぁって」

ことり「ええぇぇっ!?」

加奈子「だって、ことり勇人くんのこと好きなんでしょ?」

ことり「ええぇぇっ!!?」


二人のなんとも急な発言に、驚愕と動揺が走ることり。


ことり「わ、私が勇人くんを好き? って、え? え? な、何で?」

智子&加奈子「「はあ?」」

ことり「ええぇぇっ!?!?」


何を言うとるんだこの脳足りんは、と言わんばかりに智子と加奈子はジト目でことりを視る。
いや、もうなんか可哀想なものを…否、可愛そうなものを視るような感じである。


加奈子「今更何とぼけてるの?」

ことり「とぼけて…て、え?」

智子「え、嫌いなの?」

ことり「い、いや、別に嫌いってわけじゃあ……」

智子&加奈子「「なんだやっぱり好きなんじゃない♪」」

ことり「な、何なの二人してもう!」



◆◆◆


《鳳凰学園‐生徒会室‐》


そんな賑やかな昼休みを送っている白河ことり達とは変わって、一人この生徒会室に、生徒会長の席に座っている生徒会長、神爪勇人は、眉間にシワを寄せて神妙な顔をしていた。
その目は、手に持つ書類に向いている。


勇人「いつかは来ると思っていたが、予想よりも早いな」


先月起きた、テロリストによる鳳凰学園襲撃事件。
通称『学園崩し』
その真相は決して表沙汰にはなっていないが、それでも政府は確実に把握しているだろう。
それを切っ掛けにしたかどうかは知らないが、それでも政府は日本の…色々と重要な場所とされる初音島の警備を磐石にするため、ある者を送り込むことを決めた。


勇人「WorldPiece…通称『WP』の一人。氷雅 才斗か」


worldpieceとは、地球連邦政府の議長、事務総長、更には連邦に加盟している各国の最高責任者で、地球の最高最強戦力だ。
魔連や時空管理局とは違って、彼らの存在は表沙汰になっており、学校の教科書にも記載されている。
彼らを評する言葉は簡単である。
―――彼らは最強であり、そして地球そのものだ。
そして、勇人が今視ている書類に貼られている顔写真には、そのWPの一人である『氷雅才斗』であり、彼は現日本のトップだ。
当然ながら、天皇や総理大臣より地位も権力も上である。
それはworldpieceが、単独であっても、国家が保有している軍事力を凌駕するほどの、強大な力の持ち主ばかりだからだ。
彼は地球のトップとして、世界平和の確立という理想を謳っている。
だが、今現在この世界に恒久的な世界平和が訪れているかと言えば、答えはNOだ。
先に起きた学園崩しは勿論のこと、地球外生物である神族・魔族を迫害しているWLAや、地球人との共存を反対している反神魔連合等々、思想の衝突によって起こるテロもまだ、この世界には残っている。
そして一番の問題は。
テロリストの中には、WPの理念を嫌い、反地球連邦を謳い、集った奴等もいる。
特に有名なのは『革命の十字軍‐ディバイン・クルセイダーズ‐』という、少数精鋭のテロリスト集団だ。
その実力はworldpieceと同等と言われており、連邦軍や警察はおろかworldpieceでも、おいそれと手を出せないでいる状況だ。
他にも大小様々な組織があり、中には直接的には関係のない者にまで標的にする者も少なくない。


勇人「俺がこの島にいることには当然気づいてんだろーが、まさか戦り合う気じゃねーよな?」


勇人自身、今は封印された状態で力は殆ど出せないが、それでも保有している戦力は強大だ。
更には、魔連や神王・魔王ともコネクションがあり、いざとなれば協力だって出来る。
そんな彼と事を起こすということは、それは戦争をするのと同義だ。
さすがにそんな愚かなことはしないだろう。


勇人「ま、油断は出来ねぇけどな」


―――何せ、その地球最強の一人が、この鳳凰学園に転入してくるのだから。



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