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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第302話 来訪者




◆◆◆


《鳳凰学園‐廊下‐》


保健室から出た勇人は、ララと一緒に校門へと向かう。


「―――あ、すみません。お時間よろしいでしょうか?」

勇人「ん?」


もう放課後で、部活や委員会に勤しんでいる生徒は部室などに居て、廊下を通っていない筈なのに、後ろから声を掛けられた。
不思議に思いながらも振り返ると、そこには紫色の長い髪をしたスーツ姿の綺麗な女性が近づいてきていた。
どうやら生徒ではないようだ、教師か?


勇人「誰だ?」

紗綾「あ、申し遅れました。わたくし、この学園の理事代理を務めています鷺ノ宮 紗綾です」


勇人は「あぁ」と思い出す。
この学園の理事の一人である鷺ノ宮 藍。
彼女とは、彼女が高校生の頃からの付き合いで、姉の事などをよく話してくれた。
この鷺ノ宮紗綾が、その姉だ。
会うのは初めてだが。


勇人「で、何か用か?」

紗綾「は、はい。不躾で申し訳ないのですが、お名前を聞かせて貰ってもよろしいでしょうか?」

勇人「神爪勇人だ」

紗綾「あら、やっぱりそうでしたわ。芳乃さんに聞いた通りでしたから、もしやと思いましたの」

勇人「……だからアイツは俺のことをどう説明してんだよ」


本気で疑問だ。
そして、その聞いた通りの内容を教えてほしいものだ。


勇人「で?」

紗綾「先ほど、神爪さんにお会いしたいとお客様がお越ししていらっしゃったので、お教えに向かっていたんです。でも、生徒会室にいなかったので………」

勇人「捜していた、と」


コクンと頷く。
しかし一体誰が会いに来ているというのだろうか。
この学園にいる事を知っている人間なんて限られている。
一般の生徒は勿論、恭介やなのは達などの昔からの知人くらいのものだ。
そこから情報が漏れる事はあるだろうが、この学園まで正面から会いに来るなんて戯けた考えの奴がいるかと聞かれれば、答えは限りなくNOだ。
鷺ノ宮紗綾は知らないだろうが、芳乃さくらや神王、魔王がいる時点でこの学園は別の国であり、世界という事にになっていた。
それほどの力が集中しているのだ。
無闇に攻め込もうなんて考えると、痛い目を見るのは相手の方。
そう言う事もあり、先日のテロリストも、学園の結界を解除し、大勢の一般人を招き入れる行事の時に攻め込んできて、普段は攻め込むような事はしないのだ。


勇人「で、誰だその客ってのは?」

紗綾「すみません…わたくしも伺ったのですが、神爪勇人の知り合いとだけしか。外国の方のようでしたけど、心当たりはありません?」

勇人「心当たりがあり過ぎて分からんな。ま、会ってみれば分かるか」


記憶力は良い方である。
間桐桜のように、余程の変貌を遂げていない限り、見れば誰かは分かるだろう。


勇人「で、そいつは何処だ?」

紗綾「理事長室でお待ちです。ご案内しますわ」


言って、鷺ノ宮紗綾は歩き出し、勇人はそれに続こうとするが、


勇人「ララ、お前どうするよ? もしかしたら、長くなるかもだが………」


首だけ後ろに振り返り、ララに確認する。
長くなるかもというのも理由だが、待っているという相手によっては、連れていくのはマズイかもしれない。


ララ「うーん…じゃあ、終わるまで待ってるよ!」


「校門で待ってるねー!」と大手を振りながら元気よく廊下を走っていった。
……長くなるかもって言ってんのになぁ。
まぁ、いいか、


勇人(しかし、本当に誰だ? こんな極東の地にまで、それも学園にまで訪ねてくるモノ好きは……)


紗綾の後ろを付いて歩きながら考えていたが、やはり全く思い当たらない。
心当たりがなくもないが、それでも態々学園にまで訪ねてくる要件があるだろうか。
…………いや、ないな。
家に訪ねてくる奴くらいはいるだろうが。



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あきゅろす。
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