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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第255話 クドの気になる人




理樹「気になる人? 気になる人って男の人ってこと?」

葉留佳「その通りっ! 一目見て心が奪われたクド公。寝ても覚めても考えるのはその人のことばかり! しかし、やっぱり理樹くんも気になるの……これって浮気!? NTR!?」

理樹「えーと………」


葉留佳の熱弁っぷりに、理樹は話に割り込むタイミングが見つけられない。


葉留佳「あぁ、私はどうすれば!? クド公の心は自分の尻尾を追いかけ回すアホ犬のように、グルグルと回るのでしたぁ! ってのはどうかな?」

理樹「いや、どうかな?って言われても……」

唯湖「ふむ、一応理にかなった推論だな」


片手に紙コップを持った来ヶ谷唯湖が口を挟んだ。


葉留佳「ねっ、ねっ! 姉御もそう思いますよね!?」

唯湖「しかし個人的な感想を述べさせてもらうのならば、あの純粋無垢なクドリャフカ君が、どこぞの馬の骨かわからぬ男に心を奪われてしまうのは面白くない。彼女を任せてもいいのは、百歩譲って理樹少年くらいのもの。ぜひ、少年の奮起に期待したいが………」

理樹「ちょっと待ってよ、それじゃまるでクドが僕に気があるみたいじゃないか」

勇人「……正気か?」

葉留佳「理樹くん本気でそういってるんですかぁ!?」

唯湖「ふふっ、肝心の少年がこれではな。しかし、だからこその少年とも言えるが」


信じられないといった表情をする葉留佳に、今更何ほざいてんだと言わんばかりにジト目で理樹を見やる勇人。
唯湖は笑みを浮かべつつも、軽く溜め息をつく。


小毬「ほぇ? 理樹くんってクーちゃんが好きなの?」


会話の端々を耳にしたのか、小毬が飛び込んできた。


理樹「ち、違うよ小毬さん!」

勇人「そして理樹並みに鈍いやつがもう一人、か……」

唯湖「仕方あるまい。小毬君は未だ気づけぬ自身の恋のおかげで、他人の恋心に気を回す余裕など無いだろうからな」

理樹「もう、みんなこれ以上あらぬ話で事態をややこしくしないでよ!」

勇人「あらぬ話ときたか」

唯湖「やれやれ。しかし少年を変に意固地にさせて、関係が悪化しては困り者だ、小毬だけにな。この話はここまでにしておこう」

真人「やれやれ、はこっちの台詞だぜ。好きだの嫌いだのって話はもう済んだのか?」


会話に入るタイミングを計っていたのか、真人達が近づいてきた。


謙吾「能美が理樹に気があるのは薄々気づいていたが、ここ最近、練習を休んでいるのは無関係なんじゃないか?」

小毬「ほぇ? クーちゃんって理樹くんに気があるんですか?」

古式「あの、神北さん。もうその話は引っ張らなくてよろしいかと……」

理樹「クドは家庭科部の活動だって言ってるじゃないか。何も変に勘ぐる必要は―――」

恭介「いや、ある」


恭介の力強い肯定の言葉に、一同の視線が集まる。


恭介「あるに決まってるじゃないか、理樹。能美はひょっとしたら誰にも言えない悩みを抱えているのかもしれない。だったら悩みを俺達全員で共有し、力を合わせて解決してやるのが友情ってやつじゃないのか?」

美魚「それは単なるお節介です」


美魚が鋭くつっこむが、恭介はまったく意に介した様子はない。


恭介「能美と一番仲がいいのは理樹だが、何も思い当たる節がないのは既に分かってる」

勇人「他は心当たりないのか?」


勇人の問い掛けに、皆は「うーん」と首を傾げるが、特に思い当たることはないらしい。
そんなとき、


ことり「あ」


と、ことりが声を上げた。


恭介「どうした、白河?」

勇人「なんか思い当たること有ったか?」

ことり「大したことじゃないんですけど……」

アリシア「なんにも手掛かりとかないんだから、言って言って」

勇人「そうだな。ことり、話してくれ」

ことり「はい…実は先日、女子寮に用事があって行ったときなんですけど。能美さんが部屋に帰ったのを見たら、直ぐに部屋から出てきて急いで何処かへ出掛けていきました。出ていったときは手ぶらだったから、鞄を置きに帰っただけなんだと思います」

勇人「家庭科部の部室に行くんなら、態々荷物を置きに戻る意味ねぇな」

ルルーシュ「つまり、能美は学園や寮の敷地内から外に出ているということだな」

恭介「よし、理樹!」


ビシッ!と、恭介は理樹に指を突き出す。


理樹「いやーな予感がするけど、なに恭介?」

恭介「修業を切り上げた能美がどこへ向かっているのか、調査隊隊長に任命する!」

理樹「やっぱり……そんなのヤダよ、まるでストーカーじゃないか。クドが言いたくないんだったら、無理に聞かなくたっていいじゃない」

恭介「"言いたくない"じゃなく、"言えない"だったらどうする? 俺達や理樹にすら言えない悩みなんだぞ。力になってやろうって思わないのか!?」

理樹「そ、そう言われると……でも、悩みなんてないかもしれないじゃないか」

恭介「悩んでいないんだったら、それはそらで問題がなかったんだ。その時、あらためてホッとすればいいことだ」

理樹「う、うぅ……」


いつもの恭介の説得力に、理樹は何も言い返せないでいた。


美魚「詭弁ですね」

勇人「けど、ま、理樹には有効だがな、言いくるめられてるし」

唯湖「まぁ、こんな時間にクドリャフカ君が外出するというのも気になるし、何より危ない。ストーカーではなく護衛が付くと思えばいいのではないか?」

美魚「そうですね。人畜無害を絵に描いたような直枝さんが、能美さんに何が出来るとも思えません」

ことり「あのぉ…そういうのは、本人に聞こえないところで言うべきじゃ………」


全く他人事のように状況を見守る彼等の言葉が聴こえたのか、当事者の理樹は、若干俯き身体をワナワナさせていた。


恭介「さぁ、どうする理樹?」

理樹「………わかったよ」

恭介「わかってくれたか」


深い溜め息をはく理樹。
恭介に口論で勝てた試しがないことを、あらためて思い知る。


理樹「明日は魔法の練習や生徒会活動は休みってことにして、クドの後について行く。それでいいでしょ?」

恭介「OK、それでこそ理樹だ。そういうわけでみんな、明日修業は休みだ。そう口裏を合わせてくれ」

真人「責任重大だな、理樹。何かあったら俺に連絡しろよ。大至急、すっ飛んでいってやるからよ!」


こういうときの真人の能天気さを、理樹は心の底から羨ましく思う。


ルルーシュ「結局、直枝は流されるんだな」

アリシア「まぁ、それでこそ理樹くんって感じだけどね♪」

勇人「そういう陰口は本人の聞こえないところでやってやれよ、見た目通りナイーブな草食系なんだからよ」

理樹「聞こえてるよ……」

鈴「………もう話は終わりか?」


それまで興味なさそうに話を聴いていた鈴が口を挟む。


恭介「ああ、終わりだ」

鈴「じゃあ修業の続きだ、体が冷える」

勇人「そうだな。じゃあお前ら、休憩終了! 修業再開だ!」

真人「よっしゃ! 今日こそは必殺、5連釘パンチを完成させるぜぇ!」

謙吾「俺も、飛天御剣流を会得しないとな!」

小毬「私達は魔法の練習だねぇ」

美魚「そうですね。魔力のコントロールを完全なものにしないといけません」

古式「では、基礎から見直しますか?」

葉留佳「姉御ぉー、私が考えたオリジナル忍術観てくださいよ!」

唯湖「ああ、構わんよ。神鳴流はもう一通り修得したからな」


それぞれの修業に戻る一同。
理樹は皆の背中を眺めつつ、深い溜め息を吐く。


理樹「はぁ……気が重いなぁ」

鈴「理樹、早く来い」

恭介「なにやってるんだ理樹、気合い入れていくぞ!」



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あきゅろす。
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