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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第254話 不審な態度





◆◆◆


《初音島‐上空‐》


ララ「―――見ーっけ!! あれが勇人が行ってる学校ってトコね♪」


鳳凰学園の上空、頭の帽子から黒い翼を羽ばたかせ空を飛ぶ、現在は勇人の家に居候しているララ・サタリン・デビルークは、物珍しそうにキョロキョロと島を見下ろしている。
そんなララに、彼女のコスチュームマシンであるロボットのペケは、


ペケ「ララ様……」

ララ「なぁに? ペケ」

ペケ「さっきのお話、本気なのですか?」


心底信じられない、というより、むしろ信じたくないといったふうに眉を寄せた。
そんなペケにララは、能天気そうな声で、


ララ「そーだよ。何で?」


と、答えた。


ペケ「ララ様は銀河を束ねるデビルーク星の第1王女です。その、さっきの話が本気ということは、あの勇人という地球人を………」

ララ「まー、いいからいいから! 私の好きにやらせてよ♪」

ペケ「………………」


そんなララに、ペケは静かに溜め息を吐くのだった。


◆◆◆


《鳳凰学園‐グラウンド‐》


恭介「くらえ、ウィンドカッター!!」

真人「へっ! んなもん俺の筋肉で捩じ伏せてやるぜ! 3連釘パンチ!!」


吹き荒れる風の刃を、真人の拳が吹き飛ばした。
誰もがそう思った瞬間、いつの間にか真人は背後に回り込んだ恭介が、その手に握る剣の刃を真人の首に押し付ける。


恭介「まだまだ甘いな。この程度じゃ、俺を熱くさせることなんて出来ないぜ!」

真人「お前が尋常じゃねぇだけだろ」

勇人「一段落したし、休憩にするか」

理樹「そうだね」


勇人と恭介の言葉と理樹の同意。
リトルバスターズの行動は概ね、この三人のやり取りで決定される。
グラウンドの脇にある、大きな木の下に集まるリトルバスターズと生徒会の面々。
いつの間にかこの木の下が、定番の集合場所ポイントになったようだ。

最近ではこちらがメインに成りつつある、魔法などの特殊な戦闘訓練。
それを、このグラウンドで行っていた。
勇人が特殊な結界を張り、周囲に被害が出ないようにし、更には認識阻害も兼ねているので周りに気づかれることもない。
そして極めつけが、この結界内で受けた肉体のダメージは精神のダメージに変換されて、人が怪我をすることはない。
悪くても気絶程度である。
この安全空間で訓練を重ねて、みんなの戦闘力は随分伸びた。


勇人「ま、先生である俺の腕がいいからな」

ルルーシュ「自分で言うか……」


戦闘訓練なんて、普通の学生がやることではないが、それでも彼らの日常はいつも通りである。


美魚「やっぱり恭介さんのポジションは、誘い受けがしっくりきますね」

恭介「は? 西園…いや、マネージャー。何を言ってるんだ?」

美魚「井ノ原さんはヘタレ受けがお似合いです。それはともかくとして甘酒ですね。どうぞ、熱いので気をつけてください」


美魚は手際よく大きな湯飲み茶碗を持ち出し、小鍋から熱々の甘酒を注いでお盆に乗せ真人に差し出した。


真人「あちっ!?」


律儀に両手で湯飲みを持ち、懸命に湯気をフーフーしてあまりを冷まそうとする真人。


真人「なぁマネージャー。熱い甘酒もいいけどよぉ、運動して喉がカラッカラに渇いているときは冷たい麦茶とか……」

恭介「マネージャー、冷たい飲み物はあるか?」

美魚「どうぞ」


水差しから琥珀色の液体を紙コップに注ぎ、恭介に手渡す美魚。


真人「って、冷たい麦茶もあるのかよっ!」

美魚「無いなんて一言もいってません」

真人「じゃあなんで俺には熱ーい甘酒なんだよ!?」

美魚「冷たいお茶が欲しいなんて、一言も聞いていませんから」

真人「そりゃそうだけどよぉ……なぁ、クー公も何とかいってやってくれよ」

クド「わふっ?」


不意に話を振られたクドリャフカは、キョトンとした表情を浮かべる。


クド「おー、ジャパニーズあまざーけですね。あーっついところを、きゅーって一気に飲み干すのが美味しい飲み方というものですよ、えぇ」

美魚「だ、そうです」

真人「だぁーっ! だからそういうこと言ってるんじゃねぇっ!! それにこんな甘酒を飲み干したら喉が火傷するだろっ!」

美魚「怒鳴ると甘酒が零れます」


いつの間にか取り出したのか、美魚は愛用の傘を開いて、自身とクドリャフカをガードする。


美魚「能美さんはどちらにされますか?」

クド「あ、私はもうお暇させていただきますので、ノーサンキューなのです」

真人「んだよ、クー公は今日も半ドンか? この頃毎日だな、気合いが足りねぇんじゃねーか?」

クド「も、申し訳ありません。最近はその……家庭科部も忙しくて」


申し訳ないというより、困ったような表情を浮かべるクドリャフカ。


真人「家庭科部ねぇ…まぁ、一応自由意思で集まってっから無理は言えねぇけどよぉ」

理樹「真人、クドが困ってるよ」

勇人「それに、あくまで俺が頼んでる側だからな、無理する必要はねぇよ」


クドリャフカに助け船を出すように、勇人と理樹が会話に話って入る。


理樹「お疲れ様、クド。部長さんによろしくね」

クド「は、はいっ。それではお先に失礼いたします」


クドリャフカは深々と頭を下げたあと、逃げるように小走りで立ち去る…が、グラウンドの端で立ち止まり、くるっと回って理樹の元に引き返す。


理樹「どうしたの、クド。何か忘れ物?」

クド「うーっ、あ、あのー………」


ソワソワと視線を反らし、態度も落ち着きがない。


理樹「ん?」

クド「ほ、本当にごめんなさいっ!」

理樹「え?」

今まで以上に深々と頭を下げると、今度こそ逃げるように走り去ってしまった。
小さくなる白い帽子とコートを、ただ呆然と見送る理樹。


理樹「そんなに謝らなくてもいいのに…どうしたんだろう?」

葉留佳「ははーん」

理樹「わっ!?」


いつの間に近づいたのか、葉留佳が理樹のすぐ背後で意味ありげな笑顔を浮かべる。


葉留佳「理樹くん、大ピンチですな」

理樹「僕が大ピンチ?」

葉留佳「そうです。クド公の態度、どこかおかしいとおもいませんでしたか?」

理樹「う、うん。思ったけど………」

葉留佳「むふふーっ、理樹くんは相変わらずのニブチンで朴念仁ですなぁ」

理樹「えーと、僕、今、物凄くバカにされてる?」

葉留佳「よろしい! この私がクド公の不審な態度の理由をお教えしましょう!」


力強く自身の胸を叩く葉留佳。
その自信満々な態度に理樹はやや気圧されていた。


理樹「う、うん、分かるんだったら教えてよ」

葉留佳「ズバリ!!」


ビシッ!と、葉留佳は理樹の鼻先に人差し指を突き出す。


葉留佳「クド公に気になる人が出来たのですっ!!」


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あきゅろす。
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