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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第252話 忘れてた





◆◆◆


《初音島‐枯れない桜‐》


さくら「―――まずは、ただ火を出す、水を出すといった単純な魔法から極めてみて。お兄ちゃんは雷の属性だから、電気を出してみて」

純一「…………………」


桜公園の奥にある枯れない桜の前。
正座して地に座るさくらの前で、胡座をかいで座る純一は瞼を閉じ、静かに意識を集中させる。
その手に持つ、魔法使いが練習用に使う小さな杖を目の前に翳し、カッと目を開く。


純一「………ライトニング!」


呪文を唱えると、その杖の先から電撃が発せられて、電撃は空へと放たれる。
その電撃を見て、さくらは満足げに微笑んだ。


さくら「うん! 基本は大丈夫みたいだね、さすがお兄ちゃん!」

純一「勇人やセバスチャンさんに教わったからな」

さくら「じゃあ、これは知ってる? 実は魔力の属性って、1つの属性に頼るのはあまり良くないんだよ。だから、自分の属性と相性のいい属性も一緒にも鍛えていけば、魔力の伝導率が上がって、結果的に自分が最も得意としてる魔法の威力も上がるんだよ」

純一「そうなのか?」

さくら「うん。お兄ちゃんは雷の属性だから、相性が良いのは風の属性だね」


ここ、枯れない桜で、さくらに魔法の修業に付き合ってもらっている純一。
勇人達の生徒会業務が終わるまで待つのがかったるくなり、時間に空きがあったさくらに、魔法を教わっていたのだ。


純一「いやー、悪いな、付き合ってもらって」

さくら「別にいいんだけど…でも、何でお兄ちゃんも、魔法を覚えようと思ったの?」


それは、至極まともな問いだった。
確かに勇人に頼まれはしたが、別に無理に引き受けなくてもいいし、純一1人いなくたって、それほど戦力的には大した変化はない。
だから止めても問題はないのだろうが、


純一「まぁ、もう何度も危険な目にあってるし、自分の身くらいは守れるようにって思ってな。それに、さくら1人に島を任せるのも心配だからなぁ」

さくら「むぅ…少なくとも、僕、お兄ちゃんよりは強いよ」

純一「まぁ、それは分かってるんだけどさ………」


それでもやはり、心配なものは心配なのだ。
そんな純一の兄心(実際はさくらの方が先に生まれてるが)を理解しているさくらは、


さくら「ありがとね……お兄ちゃん」


ただ一言、そう1人呟いた。




◆◆◆


《初音島‐高台‐》



悠希「―――そんじゃあまぁ、今日はこのくらいにしとくか」

稟「………ぉ…ぉぅ…………」


時刻がそろそろ夜になる頃、高台で戦闘の訓練をしていた稟と悠希は、ゆっくりとした足取りで高台から長々と伸びる階段を降りていく。
悠希は稟に稽古をつけていただけだからそれほど疲労はしていないが、稽古をつけてもらった稟の方が疲労困憊で、フラフラの状態である。


悠希「それにしても、まぁ、いきなり戦いかたを教えてくれって言ってきたときは驚いたけど、結構様になるもんだな」

稟「先生が良いからな」

悠希「分かってるじゃねーか!」


稟が何故悠希にそんなことを頼んできたのか。
なんとなく稟の内心を察した悠希は、自分が今まで積んできたことを惜しみ無く教えた。
まぁ、全てを教えるほどの時間はなかったが、それでも飲み込みが良いのか、そこらのチンピラくらいなら武装しててもなんとかなりそうなくらいには、戦闘というものが身に付いたと悠希は思う。
おそらくは、かつて自分が通った道を、稟も歩こうとしているのを感じて、少々複雑な心境をしていたが、


悠希「そういや、知ってるか?」


それを払拭するため、話題を変えることにした。


稟「何をだ?」

悠希「なんでも、先の事件のせいで、あの"WP"日本担当者が、近々初音島に来るって話だ」



◆◆◆


《神爪家‐勇人の部屋‐》



空も暗い夜中。
既に今日の修業も終わり、解散して勇人は家へ帰ってきた。
食事も風呂も済ませて、後は寝るだけのところで、


勇人「あ」


と、思い出した。


勇人「やっべー…そういや、文芸部の件素で忘れてた………」


明日、みくるに謝らないとなぁと思いつつ、ベッドに入り眠る。
このちょっとしたド忘れが、後に大変めんどくさいことになることを、今の勇人は知らなかった。




イメージED
『memories』



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あきゅろす。
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