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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第238話 風呂から突然に





◆◆◆


《鳳凰学園‐生徒会本部‐》



勇人「………ん?」


机の上に置かれている水晶球が、輝き出す。

それが何を意味するか分かっている勇人は、



勇人「おう、早かったな」


水晶球から出てきた彼等に、呑気そうな声で言った。

そんな声に、出てきた皆は、



みんな『殺す気かあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』


と、一斉に怒濤のツッコミをいれた。

そんな彼等に、勇人は軽く首を傾げる。



勇人「あ? 何だよ突然」

真人「何だよじゃねーよっ!!」

謙吾「危うく死ぬとこだったぞ!!」


修練の扉の修業は、みんなどうにか乗り切ることが出来たのだが、気力も魔力も底をつきかけた、まさに死の直前でギリギリ、エネルギーの制御が出来たのだ。


勇人「出来たんだからいいじゃねぇか」

葉留佳「そういう問題じゃないのですよ!」

クド「わふー……まだ目眩がするのです………」

理樹「一瞬、花畑と三途の川が見えたよ……」

勇人「危険なことは承知の上だろ?」

恭介「確かにそうだが…いきなり死にかけるなんて思わないだろ!?」

勇人「あのなぁ…並みの魔術師だって、それなりのものを会得すんのに相当量の修業が必要なんだぞ。それを短期間で会得するんだ、相応に危険が付いて回るに決まってるだろ」

純一「そりゃ、そうかもしんねーけど……」


通常、一般人がまともに気力・魔力の制御を修得するには、才能がある者でも数ヵ月から数年の修業が必要だ。

それを僅か1週間程で身に付けるのなら、やはり相応の危険がある。



勇人「ま、とはいっても頼んでるのは俺だからな。嫌なら止めていい」

稟「嫌とは言ってないだろ……」

勇人「じゃ、このままでいいな」

恭介「フッ…望むところだ!」

理樹「望まないほうがいいと思うけど……」

鈴「アホだな」


◆◆◆


《神爪家‐玄関‐》



勇人「ただいまー」


今日はこれまでにして、みんな解散し、自宅へ帰ってきた勇人。

みんなヘロヘロだったので、日曜日である明日は休みにして、続きは月曜からにする予定だ。



イヴ「おかえり、勇人」

帰ってきた勇人を迎えに出たのは、寝間着に着替えたイヴだった。

火照って濡れた髪をバスタオルで拭きながら歩いてきたところを見るに、風呂上がりなのだろう。



勇人「おう、風呂上がりか。今、誰か入ってるのか?」

イヴ「ううん、みんな入り終わった。勇人が最後」

勇人「そんじゃ、入ってくるかね」



◆◆◆


《神爪家‐大浴場‐》


部屋から寝間着に使ってる黒ジャージを持ってきてから、この家にある大浴場に入る。

大浴場というか、もう温泉宿でも開けそうなくらいに立派な温泉で、数多くの風呂が、この家にある。

その温泉の中でも、比較的普通な温泉に入り、勇人はのんびりと湯槽に浸かる。


勇人「あー…染み渡るぅ……いや、別に疲れてるわけじゃねーけどよ」

特に誰に言うでもなく、1人そう呟く。

湯槽に浸かりながら考えるのは、今後のこと。

特に………。



勇人「稟だよなぁ、やっぱ。一番の問題は………」


逸速く家に帰ってきたセバスチャンに、先程聴いたこと。

……やはりというかなんというか、土見稟には酷く才能というものがない。

魔力は犬並み。それなら、毎日親衛隊に終われて逃げ続けて身に付いた体力……つまり気力を身に付けさせたのだが。

身に付けさせたはいいが、その制御はあまり宜しくない。

いや、制御方法は身体で徐々に覚えていけばいいのだが、問題は"気力"を修得させた後、何をするか。

まだ決定したわけではないが、稟は将来、三界のトップに立つかもしれない男だ。

これからも、WLAや神魔連合に命を狙われるだろう。

ただ鍛えるだけでは、心許ない。

何か"特別"な力が必要だ。



勇人「………アレを教えてみるか」


元々、土見稟に特別な力を使う才能はない。

そして、気力を使う様々な術法を身に付け、扱うほどの器用さもないだろう。

なら、1つの分野に絞るべきだ。


勇人「錬環勁気功術……教えるか」


そう呟いた時、

―――――ボコッ、ボココッ

と、風呂の湯が沸騰し出した。


勇人「あぁ?」


自分が浸かっている目の前が、ボコボコと音を立てて沸騰する。

そして、

―――――ボッ!!!

と、突然爆ぜた。


勇人「…………何だ、敵か?」


いつでも動けるように意識し、湯が爆発してまるで間欠泉のように溢れ出す水柱を凝視する。

水柱が宙で重力に従い落下し、雨のように降り注ぐ。

その水柱が出来たところに、


「んーっ、脱出成功っ!」


………全裸の美少女が、身体を伸ばして立っていた。



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