MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第237話 早速命懸け
◆◆◆
《修練の扉‐内部‐》
恭介「ここが修練の扉か……」
扉の中へ吸い込まれた恭介達は、辺りを見回してみる。
此処は、夜のように暗い場所。だが、不思議と視界は効き、辺りはハッキリと見える。
ハッキリと見えるせいで、この場所が異様であることを直ぐに認識してしまう。
広々と広がる草原に、生い茂る森林、そして何故か草原には不釣り合いなピラミッドや、歴史を感じさせる遺跡の数々、海もあれば川もあり、草原の果てを見通してみれば、砂漠も見えた。
いろんな環境をごちゃ混ぜにしたようなこの場所こそが、修練の扉内部だ。
真人「……で、どうすりゃいいんだ?」
真人が発したその疑問に、当然ながら答えられるものはいない。
特別な力を付けるための修業の場に飛ばされたはいいが、何をすればいいのか判らない。
「その疑問には、私が答えましょう」
不意に聴こえてきたその声の主に、皆は顔を向ける。
セバスチャン「我が主から、あなた方の修業を任された、セバスチャン・ミカエリスと申します」
現れたその姿に、彼を知る者は驚き、彼を知らない者は、誰?と視線で訴えた。
「勇人の執事だよ」という理樹の解説で、皆は納得する。
ことり「セバスチャンさんが教えてくれるんですか?」
セバスチャン「ええ。といっても、私が教えるのは基礎くらいですが」
言って、セバスチャンは何処からともなく眼鏡を取りだし、スチャッと装備した。
セバスチャン「では、授業‐レッスン‐といきましょうか」
◆◆◆
セバスチャン「あなた方が修得する分野はバラバラですが、共通しているものもあります」
クイッと眼鏡を押し上げるセバスチャンは、何処からか用意したホワイトボードに、ペンで書いていく。
セバスチャン「それは、"気力"と"魔力"です」
気力とは、人間が身体から発するエネルギー。
魔力とは、精神と術法で大気のエネルギーを操ったり、魂から発する霊力等の総称。
セバスチャン「これらを両方会得するのは少々困難ですので、あなた方には、片方を修得してもらいます。あぁ、これには向き不向きがあるので、先程選んだジョブから向いているのを此方で選びましたので、それを修得してください」
気力を修得するのは、理樹、鈴、謙吾、真人、葉留佳、唯湖、稟。
魔力を修得するのは、恭介、美魚、クド、小毬、みゆき、ことり、純一だ。
純一「綺麗に別れたな」
セバスチャン「では、各々別れて下さい」
セバスチャンの指示に、皆は二つに別れた。
唯湖「で、何をするのかね?」
セバスチャン「あなた方の体にある、気力や魔力の回路を強制的に開きます」
美魚「……そんなやりかたで大丈夫なんですか?」
あまりまともなやり方とは思えず、美魚はセバスチャンに問いかける。その質問にセバスチャンは、
セバスチャン「安全とは言えませんが、短時間で修得するにはこれしかありませんので……死ぬ気で修得しないと、文字通り死にますよ」
ニッコリと、物騒なことを平然と言い、「え」と間の抜けた声を出す皆を無視して、両の掌を皆に向けて、
―――――ゴォッ!!
と、彼等の身体に魔力を流し込んだ。
そして数瞬後、皆の身体から、無色透明のエネルギーが迸る。
彼等の身体から発せられるそのエネルギーが、気力や魔力というものだ。
セバスチャン「今あなた方から流れ出ているそのエネルギーが、気力・魔力です」
恭介「おい、まさかとは思うが………」
恭介は冷や汗を流しながら、セバスチャンを見る。
なんとなく、やることと状況が見えたからだ。
けどそれはとてつもなく嫌な予想。
彼が良く読む少年マンガでも、割りとよく見かけるこの展開。
セバスチャン「ええ、恭介様の考え通り、今あなた方は無意識に身体からエネルギーを垂れ流し続けてる訳ですから、そのまま放っておけば死にます」
真人「ま、マジかよっ!?」
純一「かったりぃにもほどがある!」
そう。だから彼等が今やることは、ただ1つ。
セバスチャン「その身体から吹き出てるエネルギーを制御して、静めてください。後1分もすれば、あなた方のエネルギーは底を付くでしょう。それまでにそのエネルギーを制御出来なければ……言わなくとも分かりますよね?」
基礎の基礎ともいうべき段階の修業のはずなのだが、早速命懸けの修業が始まった。
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