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MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第236話 土見稟という男の評価





◆◆◆


《鳳凰学園‐生徒会室本部‐》



生徒会長の机の上に置かれている水晶の中から出てきた勇人は、軽く息を吐いた。

中ではまだ皆が、修練の扉の中に入っているだろうが、この現実空間と、水晶内部の時間の流れは違う。

更に修練の扉の中も、時間の流れが違い、遅いのだ。

彼らが扉から出てくる頃には、彼等は1週間以上水晶の中に入っていることになってるだろうが、現実空間ではほんの数十分程度の時間で済む。

待つなら水晶の中で待つより、ここで待った方が時間は掛からない。

だから勇人は水晶から出てきて、自分の席である生徒会長の椅子に座り、



勇人「あまり趣味がいいとは言えねぇな」


此処、生徒会室の扉の影にいる二人に向かって言った。



ユーストマ「いやー、分かってはいるんだけどよぉ。マー坊がどうしてもってよぉ」

フォーベシイ「そういう神ちゃんだって、覗き見してるじゃないか」


扉の影からひょっこりと出てきた神界と魔界の王は、苦笑をもらした。



フォーベシイ「それで、勇人ちゃん」


魔王は机の上に置かれている水晶球を見ながら尋ねた。



フォーベシイ「どうだった?」

勇人「さっぱりだったな」


その返答に、魔王と神王は溜め息を吐いた。

今回のこの修業。

勇人が皆の力を借りるために、協力を頼んだことは間違っていない。

だが、土見稟に関しては、隠された目的もあった。



ユーストマ「そりゃあ、最初からわかってたとはいえ…婿殿、本当にただの人族なんだな」

フォーベシイ「だろうね」


自然と、二人は苦笑を漏らしあった。

隠された目的というのは『土見稟という少年の評価』だ。

神王位継承権第一位の聖姫リシアンサスと、魔王位継承権第二位の魔界の天使リコリスに見初められた人界の少年。

その政治的立場は、当人達が考える以上に微妙であり、かつ絶大なものだ。

仮に稟が三世界の女性を妻に迎えれば、名実ともに三世界に君臨する王になれる。

三世界史上初となる統一王の誕生だ。

勇人も統一王の候補に挙げられてはいるが、本人が稟以上にその気がなく、勇人自身は稟にその役目を全力で押し付ける気満々である。

だからこそ、稟には秘められた力なり、隠された血脈なり、知られざる奇跡なりがあってくれると非常に助かるのだが。



勇人「ま、大丈夫だろ」


言って、勇人は水晶球を見つめた。



勇人「確かに、稟に特別な"何か"はないが、当たり前のことを当たり前にやれるという美徳がある。何だかんだで、人の上に立つのも性格的に向いているし、助けてくれる仲間もいる。アイツがやる奴だからこそ、お前らも娘を任せたんだろ?」


親バカとはいえ、いくら溺愛してる愛娘が惚れてる男だからって、ただそれだけの理由で、同族達全員の反対を押しきってまで稟を婚約者と認めるなんてことはしない。

彼等なりに、将来的任せる価値があると判断したからだ。



ユーストマ「確かに、そうだな」

勇人の言葉に、二世界の王達は不敵な笑みを浮かべた。





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あきゅろす。
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