MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第231話 過去と現在と未来
◆◆◆
《水晶内部‐ホテル‐》
中間テストが明けた翌日。
即ち土曜日。
今日学校は休みなのだが、補習を受けなければならない生徒は、強制的に登校しなければならい。
何故なら、それをサボれば後に鉄人と紅女史のドぎつい熱血指導が待ち受けているからである。
ちゃんと真面目に登校すれば、今日は紅女史だけの補習ですむ。
1人いないだけで大分違うのだ。
それでも強烈な熱血指導があることには変わらないのだが………。
ここにいる者達は、皆無事にテストを乗り越えた生徒達。
そして、勇人の頼みということで、力を貸そうと集まった者達である。
理樹「……でも、実際どうやって僕達が勇人の代わりに動くのさ?」
勇人「言うは簡単だ、力を付ければいい」
鈴「私ら魔法なんて使えんぞ」
いくら今のこの世界が、神界・魔界の文化によって魔法の力が発達してきたとはいっても、人間が魔法のような特別な力を使うには、殆んど才能が必要である。
だが、当然ここにいる者達の大半にそんな才能があるわけでもなく、特別錬金術が得意というわけでもない。
だが、方法はある。
勇人「ま、それは問題ないから気にしなくていい。考えがある。まずは、お前達の適性を調べる」
ことり「適性、ですか?」
その者がどんな才能を持っているか、そして何に向いているか。
後は、ノルンチェック。精霊魔法による過去・現在・未来の透視。
今日最初に行うのはそれだ。
勇人「才能云々に関しては、もうある程度調べ終わってるから、ノルンチェックからだな。それを見て、このまま俺に協力するか、止めるかを決めればいい」
言って、勇人はパチンと指を鳴らす。
精霊魔法によって、過去・現在・未来を透視して、これから進む道を考える。
まずはここからだ。
とはいえ、別に生まれてから死ぬまでの歴史を、年表のように見透かされる訳ではない。
大まかな過去・現在・未来について、詩篇で表現されるというものだ。
過去は今まで何をしてきたか、現在はどんな力や才能があるのか、そして未来は、このまま行けばどのようなことが起こるのかが現れる。
無論、未来の歴史は絶対ではなく、本人の意志によっては別の道を歩み事も可能である。
ノルンチェックで示されるのは、あくまで最も確率の高い未来についてだ。
床に大きな魔方陣が浮かび上がり、皆のノルンチェックが始まり、皆の目の前に、一枚の紙が現れる。
勇人「それが詩編だ。お前達の過去・現在・未来が記されてる。それを読んで、このまま俺に協力してくれるのなら、そのまま残ってくれ。もし止めるなら、このまま帰ってくれて構わない」
◆◆◆
皆は、自分の過去・現在・未来が書かれた詩篇を手に取り、目を通す。
皆首を傾げているが、理解出来る部分もあるようで、少し暗い顔をしている者もいる。
そんな皆を横目で見ながら、勇人は自分の詩篇を見た。
『前世や様々な世界、荒野と化した母なる大地を渡り歩き、絶望と孤独を知った貴方は、真の勇者の道へと到った。
悲劇の魔王を倒しても、貴方の戦いは終わらない。邪神は滅ぼさなければ、何度でも繰り返される。自由の翼が散々になろうとも、戦いの道は続いていく。
今の貴方にかつての力はない。戦い抜く力はない。だが、貴方は戦わなくてはならない。貴方の中にある真実だけが、貴方を高みに導くだろう。
最初はたとえ小さな光でも、多く集まれば大きな光になる。登り続ければ、貴方の回りは様々な大きな光が集うだろう。光が集まるか否か、ここが大きな分かれ道。
遠くない何時かの未来に、自由の翼は再び集うだろう。各々の目的や意志によっては、貴方の敵にも味方にもなりうる。そして魔神は選択を迫られる。世界を動かすほどの、世界を変えるほどの選択を迫られる。
希望が照らし出す、光り輝く神話へと至る道を選ばんことを………』
3つに分かれている詩は、それぞれが過去・現在・未来を表している。
過去と現在はともかく、未来に関しては勇人にもハッキリとは分からない。
予言である程度分からなくはないが、それでもこの未来の予言は、昔から大して変わっていない。
変わったのは、遠くない何時かの未来に、という文に変わったことくらいだ。
よくは分からないが、それでも厄介事がやって来るのはハッキリしている。
"自由の翼"
彼等が再び集う時、何かが動くのだろう。
勇人「…………と」
読みふけっていた顔を上げる。
皆も詩篇を読んで、各々色んな表情をしているが、ここに残ったいうことは、もう言わずともいいだろう。
勇人「それじゃ、早速授業といこうか」
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