MAGI☆NIGHT〜Making Good Relations,OK?〜
第227話 新制度
勇人「最初は恭介に頼まれたからなんだが……どうやら、俺がお前達に頼むことになりそうだ」
勇人の言葉に、皆は首を傾げる。
ことり「どういうことです?」
勇人「さっき恭介が説明した学園崩しの際に、ちょっとヘマをしてしまってな。今、俺の戦闘力は大きく低下してる」
理樹「……そうなの?」
唯湖「特に、君に変化は見られないが……」
勇人「見た目はな。身体能力に変化はないんだが、魔法とかスキルとか、エネルギーの使用量とかが大幅に制限されてるんだよ。はっきり言って、今は通常時の1%位の戦闘力しかない」
真人「………てことはよ」
その言葉に、真人はふと思いついて、
真人「今なら勇人に勝てるってことだよな?」
自信満々に言ってみせる。
その言葉に勇人は、やれるものならやってみろと言わんばかりに、指を立ててチョイチョイと動かした。
真人はニヤリと笑みを浮かべて、駆け出す。
◆◆◆
勇人「………で、お前達に頼みたいことというのはな」
襲い掛かってきた真人を瞬殺して、勇人は淡々と説明を続ける。
床に真人が倒れてるが、皆は苦笑するだけで特に気にしていない。
まぁ、いつものことだ。
勇人「来週から、生徒会の制度が少し変わるのは知ってるか?」
稟「そうなのか?」
勇人「ああ」
簡単に説明すると、今まで生徒会は勇人が率いる第0生徒会を筆頭に、幾つか生徒会が存在していた。
様々な学校が合併した影響で、合併前の学校に存在していた生徒会や委員会等は、合併後もそのまま存在していたのだ。
今までは別々の学校に存在した生徒会や委員会が、それぞれ連携をとっていたのだが、この1週間の休校を期に、全生徒会と全委員会を解体し、新たに生徒会と委員会を設立したのである。
勇人「委員会はそれぞれの各委員会が合併して、組織内の階級や所属が少し変わるだけなんだが、生徒会が少しややこしくてな」
まず一番上に、全てを統括する『生徒会本部』を設立。
その下に、生徒会業務を主に実行する実動隊『生徒会執行部』が存在し、その下に各委員会を束ねる中間管理所である『中央委員会』が存在する。
そしてその下に、各委員会が存在するのだ。
勇人「生徒会執行部は主に学園内の業務を行うんだが、俺は新たに、"生徒会特別執行部"を設立しようと思う」
美魚「特別執行部………」
生徒会執行部は、あくまで学園に起きる通常の異常…主に親衛隊の暴走阻止などの治安維持や、その他の業務を行っている。
だが、勇人が新たに設立しようとしている"特別執行部"は、普通では起こり得ない異常…すなわち、一般人では対処出来ない魔法的現象の阻止等の、様々な裏業務を行う。
用は、今まで勇人が依頼等で個人的にやっていたことを、学園の正式な組織にしてしまおう、ということだ。
勇人「本来なら、なのは達のように戦う力を持ったやつに頼むべきなのかもしれんが、あいつらは別の組織に所属していて自由に動けない。魔法教師達も、それぞれの立場があるから、正式な手続きを踏んだりしなければならなかったりと、機動力に欠ける」
何処の組織にも正式に所属していない勇人なら、自由に動ける。
そして勇人が作った組織は勇人独自の管轄として動かすことが出来る。
勇人は今、封印されて弱体化しており、今までのように個人で事態に対処出来るかどうか分からない。
護りたいモノ、護らなければならないモノを、護れるかどうか分からない。
友人や仲間など、出会ってきた者達との絆や縁。
託されたモノや、約束。
遥かに永い年月を生きてきた、勇人は自分の目的のために。
勇人「だから、俺に、お前達の力を貸してくれ」
◆◆◆
皆は、かなり珍しいものを観るかのように勇人を観る。
理樹達にとっては小さい頃からの付き合い。
小学生の頃から接してきた彼らにしてみれば、今の勇人は凄まじく珍しかった。
何故なら、今まで彼は他人からの手助けなど必要としていなかったからだ。
別に頑なに他人の手助けを拒絶していたわけではない。
今まででも何だかんだで、少し困ったことなどがあれば誰かに頼んだりもしていたが、今回のこれは、そんな軽い感じじゃあない。
今まで勇人は、一人で何でも出来たし、何でもこなしてきた。
故に、特に助けを必要としていなかったから、誰かに助けを頼むこともそんなになかった。
少なくとも、それだけの強さを手に入れてからは。
だが今は、その力を封印されている。
だからと言って、たったそれだけのことで勇人が他人に助けを求めるとは思えなかった。
それは、まだそれほど長い付き合いというわけでもない者達ですら、容易に感じ取られるモノである。
何故急に助けを求めたのかは分からない。
だが、彼らはその理由を特に聞くことはしなかった。
ただ、今までなにかが起きても、重要なとこでは完全に蚊帳の外であったことに比べれば、とるに足らない問題だった。
だから彼らは、その頼みに応える。
特別な理由は必要ない。
友達が、仲間が、助けを求めてきた。
それに応えるのに、一々理由はいらないのだから。
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